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胎児影響モデルの胚様体細胞アッセイを活用した影響閾値限界の推定に関する研究(平成 25年度)
A Study of threshold limit values for exposure to ionizing radiation using the embryoid body assay as a fetal effect model

予算区分
ZZ 個別名を記載 民間委託JANUS
研究課題コード
1213ZZ002
開始/終了年度
2012~2013年
キーワード(日本語)
胚様体,放射線
キーワード(英語)
embryonic body , radiation

研究概要

放射性化学物質の内部被ばくによる胎児への健康影響レベルを明らかにすることは重要課題の一つである。しかし、疫学調査では、因果関係を明確にすることは困難であり、実験動物では、ヒトとの種差が存在する。両者のギャップを埋める施策が必要である。
 そこで、本研究では、胎児細胞モデルであるヒト多能性幹細胞由来の胚様体を活用して、神経前駆細胞及び血管内皮細胞への分化への影響をゲノミクス解析で調べる。また、放射線影響に応答する既知及び新規遺伝子産物について、DNA修復や細胞機能を解析し、低線量と各指標との量反応関係を明らかにする。

研究の性格

  • 主たるもの:行政支援調査・研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

胎児影響モデルの胚様体細胞アッセイにおいて、放射性化学物質の線量と影響の関係性を解析する。

平成24年度
ヒト神経前駆細胞塊に対し、細胞培地中にセシウム137を添加して内部被ばくを模倣した条件で放射線を被ばくさせつつ、1週間〜1ヶ月の間分化培養する。培養では、0.1〜100mSv未満の被ばくとなるような範囲の量率で被ばくさせる。曝露は、東京大学アイソトープ総合センターで実施する。分化培養期間中、複数時点におけるDNA及びRNAの採取、細胞固定を行い、経時的な変化を観察する。DNA及びRNAの損傷、細胞形態変化及び遺伝子発現量の解析を実施する。

平成25年度
前年度のデータを元に、放射性セシウム内部被ばく細胞モデルを用いて、観察のタイムポイントを1点に選定し、線量率の量と応答指標との関係を調べる。放射線影響のゲノミクス解析(DNA及びRNA損傷関連分子の変動を中心に実施する)をさらに詳細かつ系統的に実施する。
 この解析でゲノム異常に相関があった項目について、細胞生物学的・分子生物学的解析(ノックダウン実験による細胞表現形変化の観察、変異分子の発現による構造活性相関解析など)を実施して背景にある分子メカニズムを調べる。上記解析の結果を主任研究者のデータに統合して、データベースを作成する。これにより、放射線影響の網羅的ゲノミックス俯瞰図を完成させる。

今年度の研究概要

ヒト神経前駆細胞塊に対し、細胞培地中にセシウム137を添加して内部被ばくを模倣した条件で放射線を被ばくさせつつ、1週間〜1ヶ月の間分化培養する。培養では、25〜400mSv未満の被ばくとなるような範囲の量率で被ばくさせる。曝露は、東京大学アイソトープ総合センターで実施する。分化培養期間中、複数時点におけるDNA及びRNAの採取、細胞固定を行い、経時的な変化を観察する。DNA及びRNAの損傷、細胞形態変化及び遺伝子発現量の解析を実施する。

外部との連携

本研究課題は、国立大学法人東京大学アイソトープ総合センター秋光准教授(課題代表者)との共同研究である。

備考

本研究課題は、原子力災害影響調査等事業(放射線の健康影響に係る研究調査事業)階層的ゲノミクス解析を基盤とした放射性物質による健康影響の解明の分担研究として実施するものである。

課題代表者

曽根 秀子