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海水中における水銀の有機化(メチル化)反応に及ぼす環境要因の影響に関する研究(平成 25年度)
Studies on effects of environmental factors on methylation reaction of mercury in seawater

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1314CD003
開始/終了年度
2013~2014年
キーワード(日本語)
メチル水銀,メチル化,海洋汚染
キーワード(英語)
methylmercury, methylation, marine pollution

研究概要

魚の水銀蓄積は、食物連鎖や鰓、魚の体表面を通して海水から直接吸収され、人が主に食する魚筋肉中の水銀の大半(90%以上)がメチル水銀である。人の水銀曝露は主に魚食を通して行われるが、多くのメチル水銀を魚食より体内へ取り込むと、妊婦の場合には影響が出現する可能性が指摘されている。一方、過去7年間に亘る水俣湾研究の結果、これまでの定説であったメチル水銀の起源は深海域の底質とその周辺だけでなく、深海に比べ酸化的条件が強い、数10m程度の浅海域でも条件が揃えばメチル水銀が生成し、魚類へ影響する可能性があることが分かった。これらの事実は独自の魚食文化を有する日本民族にとって重要な問題である。そこで上述を鑑み、我が国の海洋中における水銀の挙動解明に関する研究について先ず重要なことは、浚渫暫定基準(25ppm)を念頭に置き、海洋中における水銀のメチル化反応を正確に評価出来るようにする事である。そこで本研究では、海洋中の底質や他環境から供給される水銀の主な化学的形態とその量が、どのような海洋環境条件の下でメチル化するのかについて、日本沿岸の浅海域を対象に海洋モニタリング及び実験的な検討を行い、各環境条件の影響度を正確に把握することを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

海洋中、特に数10m程度の浅海域における水銀の挙動を解明するために、浚渫暫定基準(25ppm)レベルでの海洋中における水銀のメチル化反応を正確に評価する室内モデル実験手法を作成する。そして、海洋中の底質や他環境から供給される水銀の主な化学的形態とその量が、どのような海洋環境条件の下でメチル化するのかについて、日本沿岸の浅海域を対象にした海洋モニタリングとモデル実験による検討から、各環境条件の影響度を正確に把握することを目指す。

今年度の研究概要

昨年度(平成24年度)に製作した室内モデル実験装置の試運転結果を鑑み、修正すべき箇所がある場合は早急に変更する。変更後、室内でのモデル実験を開始する。室内実験を長期間に亘り継続し、水質を連続モニタリングすることは困難であることから、室内実験は環境要因の組み合わせによるメチル水銀濃度の変化を指標として行い、期間としては1回あたり1週間から2週間程度を想定する。これらの実験に関して必要な条件設定(海水中の水銀濃度、栄養塩濃度等)については、本実験開始前に行って、その解析結果を室内モデル実験に反映させる。

外部との連携

国立水俣病総合研究センター環境・疫学研究部の松山明人室長が研究代表者を務める科学研究費補助金基盤研究(B)への、分担者としての参画。主に水銀メチル化に関与する微生物の遺伝子解析を分担する。

関連する研究課題
  • 0 : 地域環境研究分野における研究課題

課題代表者

稲葉 一穂