- 予算区分
- KB JST
- 研究課題コード
- 1216KB001
- 開始/終了年度
- 2012~2017年
- キーワード(日本語)
- オゾン,化学輸送モデル,データ同化,成層圏,南米
- キーワード(英語)
- ozone, CTM, data assimilation, stratosphere, South America
研究概要
本課題の上位課題ではオゾンホールに曝される南米南端のリオ・ガジェゴスを中心に、チリ・アタカマ高地、昭和基地を含む広範囲な大気質モニター体制を整備し、オゾンホール境界領域の構造、オゾンホール崩壊時の空気塊の中緯度帯への輸送・拡散過程の理解、人為起源および自然起源によるグローバルな大気質変化の実態把握とその原因の理解を進めると同時に、オゾンホール下の地域住民へのオゾン・紫外線情報の伝達・アラートシステムの開発を現地の研究者らと共に推進する。また、ミリ波観測データの高精度化を図り、既設のオゾンライダー・オゾンゾンデ等の観測装置と組み合わせて観測網の「空白域」である南米地域の大気質観測データの国際的データベースへの提供を進める。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
上位課題で整備する地上観測網より得られたデータと他の衛星測器により得られる大局的なデータを有機的に結合させる統合的解析手法の確立、および化学輸送モデルの整備と検証、化学輸送モデルを用いたデータ同化や短期予報、大気微量成分変動のプロセス理解等を行うための解析手法の研究を行なう。成層圏オゾンに関しては、リオ・ガジェゴスのオゾンライダー、ミリ波分光放射計データ、オゾンゾンデデータに、アタカマ、昭和基地のデータ、衛星データや化学輸送モデルを合わせて解析し、統合的データ解析の有効性をオゾンホールの南米先端部への到来を事例として検証する。2012,2013年度は、JEM/SMILES のデータと、アタカマの地上ミリ波観測データ、さらに MIPAS 等の欧米の先行衛星データ、化学輸送モデルによる3次元データの計算結果と比較することにより、相互検証を行う。同時に、成層圏微量成分の全球的な動態を把握し、データセット化することによって、統合的データ解析手法の評価に活用できるようにする。本事業の観測網が整備される2014年次以降は、定常的なアウトプットが期待される観測網のデータを活用したデータ解析を進める。
今年度の研究概要
本年度ではまず大量の衛星観測データの整備(前処理)を行なう。当初予定としては、リオガジェゴス・アタカマ・昭和基地の地上ミリ波観測データのうち、観測期間の長いアタカマに焦点をあてて、その観測に同期した日本のSMILES、米国のMLS、欧州のMIPAS、カナダのACE-FTSからの衛星データの取得および解析方法の確立を行なう。また、過去に観測された微量成分分布の化学輸送モデルによる再現や微量成分分布の短期予報を行うことを2013年度以降に予定しているが、本年度はそのための化学輸送モデルの設定およびモデル計算に用いる気象データの整備を行う。モデルの設定に関しては、観測データとの同期を取るために最短30分間隔で計算結果を出力できるように修正を行う。気象データの整備に関しては、GEOS-5データおよびERA-Interimデータをモデルの解像度に合わせたデータに加工し、モデルへの入力が可能なようにする。
外部との連携
本課題は下記の地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)の上位課題のサブテーマのひとつである。
上位課題名:南米における大気環境リスク管理システムの開発
研究代表者名:水野亮(名古屋大学・太陽地球環境研究所)
主要相手国:アルゼンチン共和国
備考
V.5.(1)のオゾン層変動研究プロジェクトに関連
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