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伊豆諸島八丈島のニホントカゲ外来個体群と在来種オカダトカゲの繁殖生態の差異から見た交雑動態の予測(平成 24年度)
Prediction of future trend of introgressive hybridization between the native lizard Plestiodon latiscutatus and the invasive lizard P. japonicus on Hachijojima Island, Izu Islands, based on comparison of reproductive ecology

予算区分
AQ センター調査研究
研究課題コード
1212AQ011
開始/終了年度
2012~2012年
キーワード(日本語)
外来種,交雑,リスク評価
キーワード(英語)
invasive species, hybridization, risk assessment

研究概要

伊豆諸島八丈島では,外来イタチの影響で絶滅が危惧されるオカダトカゲ個体群と,新たな外来種ニホントカゲとの間で,外来種→在来種という方向に偏った浸透性交雑が生じていることが明らかになっている.オカダトカゲは,ニホントカゲに比べて少産・遅熟で増加率が小さい傾向にあり,これが非対称な遺伝子浸透の要因の一つになっている可能性がある.しかし,八丈島の外来・在来個体群については繁殖生態データが無く,将来動態の予測における不確定要素となっている.

オカダトカゲ在来個体群とニホントカゲ外来個体群について,個体群密度と繁殖生態の種間差を推定し,前年に推定された集団遺伝解析による動態予測と組み合わせて,遺伝子浸透の将来動態をより高精度で予測する.その際,八丈島個体群に似た繁殖生態を持つとされる八丈小島(外来種なし,オカダトカゲは高密度)と三宅島(イタチのみ侵入,オカダトカゲは絶滅危惧)の個体群についても調査し,繁殖生態と遺伝的多様性への外来種の影響を検証する.

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

1. 個体群密度・繁殖生態の種間差の推定

 八丈島・八丈小島・三宅島での野外調査(春・秋の計2回)により個体群密度を,体サイズ組成から齢構成を,サイズと生殖腺の状態の関係から性成熟齢をそれぞれ評価し,生息密度と増加率の種間差を推定する.体サイズ組成と生殖腺の観察については,文献と既存の標本(東邦大・京大博物館所蔵)のデータも併用する.

2. 繁殖生態と遺伝的多様性への外来種の影響の検証

 八丈島個体群の密度・繁殖生態を,イタチ・ニホントカゲ侵入の無い八丈小島とイタチのみ侵入している三宅島のものと比較することにより,密度・繁殖生態そのものへの外来種の影響(特に,イタチ侵入前後で変化した個体群密度の効果)の有無を検証する.また,DNA解析により,遺伝的多様性とメタ個体群構造を島間で比較する.

3. 繁殖生態を考慮した八丈島の遺伝子浸透の将来動態予測

 上記の解析結果を,前年解析した遺伝子浸透の動態と比較することによって,将来動態の定量的な予測を行い,八丈島のオカダトカゲ個体群の絶滅リスク評価を行う.これを,外来種の防除と在来種の保護の指針となる基礎データを提供する.

今年度の研究概要

 既存の文献と標本の調査により,繁殖生態の情報を可能な限り収集する.野外調査では,近年の分布情報の無い三宅島個体群の概況を把握するとともに,3島の現地調査により個体群密度・繁殖生態について島間で比較可能なデータを取得し,八丈島における遺伝子浸透動態を可能な限り高精度で予測し,今後の調査方針・防除方針を立てるためのベースデータを得る.

外部との連携

栗山武夫博士(東邦大学 理学部)と共同研究.

関連する研究課題
  • 0 : 生物・生態系環境研究分野における研究課題

課題代表者

岡本 卓