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ディーゼル排気ナノ粒子の脳、肝、腎、生殖器への影響バイオマーカー創出・リスク評価(平成 23年度)
Risk assessment of inhaled nanoparticle rich diesel exhaust focusing the impacts on brain, liver, kidney, and reproductive organs

予算区分
BD 環境-環境技術
研究課題コード
0911BD001
開始/終了年度
2009~2011年
キーワード(日本語)
ディーゼル排気ナノ粒子,生体影響,バイオマーカー
キーワード(英語)
nanoparticle-rich diesel exhaust particles, adverse effects, biomarkers

研究概要

健康影響が十分明らかにされていないナノ粒子の生体影響を、これまで研究してきた生殖・次世代影響に加えて、特に重量の変化がみられた臓器(肝、腎)を中心に研究を行い、新しいバイオマーカーを創出し、リスク評価の提言を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:政策研究

全体計画

サブテーマ1では、ナノ粒子を多く含んだディーゼル排気(NRDE)の短期・長期吸入曝露による脳(嗅球, 海馬等)での炎症性サイトカインmRNA発現レベルへの影響を明らかにする。嗅球, 海馬での細胞外アミノ酸神経伝達物質(グルタミン酸, GABA, グリシン)レベルへの影響を脳マイクロダイアリシス法によって明らかにする。また、神経伝達物質受容体(特にNMDA型やAMPA型のグルタミン酸受容体サブユニット)の発現レベルへの影響を明らかにする。モリスの水迷路試験(空間認識の記憶学習を測定する方法)による学習機能行動への影響を明らかにする。
サブテーマ2では、(1)肝臓および腎臓のエンドポイント:病理的変化、AST,ALT,クレアチニン等。(2)メカニズムの解明および影響のバイオマーカー候補の解析:TNFα,TNFR1,TNFR2等炎症のサイトカイン;8-OHdGや4-HNE(脂質過酸化物ストレスの指標)等の酸化ストレス;NFκB(p50、p65、p52等の炎症シグナル);TUNEL染色、Bax、Bcl2、Caspase3等(アポトーシスの指標)を解析し、影響の新たなバイオマーカーを創出する。(3)下垂体からのGH分泌促進が肝臓・腎臓のGHRやIGF-1を介して与える影響のメカニズム解明とバイオマーカーを創出する。(4)NOAELの決定し、リスク評価に繋げる。
サブテーマ3では、(1)テストステロンレベルに影響を与えるナノ粒子濃度の無影響レベル(NOAEL)の決定。(2)下垂体からのGH分泌促進が直接あるいはIGF-1を介して精巣以外の生殖器に与える影響とバイオマーカーの創出。(3)副腎皮質、ライディッヒ、セルトリ細胞を用いて関連するホルモンへの影響を解析し、ナノ粒子の内分泌系への影響のメカニズムを解析する。

今年度の研究概要

マウスにNRDEを吸入曝露し、非空間的な学習機能行動への影響を調べる。さらに、神経毒性メカニズムを明らかにするために、マウス嗅球・海馬でのグルタミンtransporter 1、神経細胞死に関与するカスパーゼ活性化などをリアルタイムRT-PCR法、ELISA法で測定し、ナノ粒子曝露影響における新たなバイオマーカー候補を創出する。

外部との連携

サブ2ナノ粒子の肝臓・腎臓への影響のメカニズム解析と新たなバイオマーカーの創出・リスク評価に関する研究は、国立大学法人名古屋大学と、サブ3ナノ粒子曝露のホルモン系への影響と新たなバイオマーカーの創出・リスク評価に関する研究は国立大学法人東京農工大学と共同研究を行っている。

備考

名古屋大学 那須民江教授、および東京農工大学 田谷一善教授との共同研究

課題代表者

藤巻 秀和

担当者