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有害大気汚染物質の健康リスク評価手法等に関するガイドライン策定検討(平成 22年度)
Studies on setting a guideline for health risk assessment of hazadous air pollutants

予算区分
MA 委託請負
研究課題コード
0810MA002
開始/終了年度
2008~2010年
キーワード(日本語)
リスク評価,有害大気汚染物質,環境基準
キーワード(英語)
risk assessment, hazadous air pollutant, environmental quality standard

研究概要

有害大気汚染物質に関しては、有害性の程度や大気環境の状況等に鑑み健康リスクがある程度高いと考えられる22物質が優先取組物質として選定されている。これらの健康リスク評価・指針値策定の手順については「指針値算出の具体的手順」として、評価方法の基本的な考え方が示されている。今後、評価値を設定する基本的な方針として、現在の「手順」より詳細なガイドラインとなるべき考え方を示すことを目標に、我が国や諸外国において実施された評価方法を整理し、最も適切なリスク評価値の算出方法について検討する

研究の性格

  • 主たるもの:行政支援調査・研究
  • 従たるもの:政策研究

全体計画

1.従来のリスク評価方法の確認
国内外において、これまでに行われた化学物質のリスク評価の方法や対象物質選定の考え方を、吸入曝露を中心に文献調査する。この調査を基に、動物実験に基づくリスク評価方法とその問題点、及び解決すべき課題を次の手順に従い整理する。
1)わが国における有害大気汚染物質の従来のリスク評価方法の整理
2)国際機関や諸外国における有害大気汚染物質の従来のリスク評価方法の整理
3)動物実験データの利用によるリスク評価の問題点の整理
4)吸入による曝露評価と種間外挿の問題点の整理

2.閾値のある健康影響に基づく評価方法の検討
国内外の評価書等の文献を参照して、下記の事項を整理する。
1)不確実係数の概念の整理
2)不確実係数の具体的な設定ルールに関する検討
3)無毒性量等を使用しない評価方法についての整理

3.閾値のない健康影響に基づく評価方法の検討
閾値のない健康影響とは実質的には発がん性であり、上記2.項と同様に、国内外の評価書等の文献を参照し、下記の事項を整理する。
1)有害性の閾値の有無の判断に関する検討
2)リスク評価の方法と手順の検討
a. ユニットリスクの算出に関する検討
b. 種間外挿の考え方の整理

これら収集した情報を基に、最も適切なリスク評価値の算出方法について検討する。

今年度の研究概要

今年度は下記の事項を検討することを予定している。
1.閾値の「ある」健康影響に関する検討課題
1)不確実係数の具体的な設定ルールに関する検討
有害大気汚染物質の指針値等の設定に必要な不確実係数の設定ルールについて検討する。また、一般のデフォルト値10 より小さい不確実係数を設定できる場合とその設定の考え方(例、トキシコキネティクス/トキシコダイナミックス(TK/TD)の考え方に基づく不確実係数の設定)を整理する。実験動物からヒトへの曝露量換算とヒト同等濃度への変換に関して、デフォルト値10 以外の考え方を採用すべきか否かについて、下記、閾値のない健康影響に基づく評価方法と関連させながら検討する。
2)無毒性量等を使用しない評価方法についての整理
無毒性量等を使用しない評価では、多くの場合ベンチマーク用量が利用されるが、NOAEL・LOAEL に代えてベンチマーク用量を用いることができる場合を整理し、さらに適切なデータセットや数理モデルの選定基準を整理する。
2.閾値の「ない」健康影響に関する検討課題
1)発がん性の閾値の有無の判断に関する検討(継続)
2)ユニットリスクの算出に関する検討
ベンチマーク用量の基準値(10%、5%、1%)や信頼限界値(95%下限値等)の選定の考え方を整理し、確認する。
3)種間外挿の考え方の整理
実験動物からヒトへの曝露量換算方法(体重換算、体表面積換算、換気量換算、肺表面積換算等)とヒト同等濃度への変換方法(血液/ガス分配係数、曝露時間・濃度換算等)を整
理する。
ただし、この課題は「閾値のある健康影響に基づく評価方法の検討」と共通の課題と考える。
3.総合的検討課題
1)アレルギー反応など新規の作用メカニズムを考慮した有害大気汚染物質の健康影響評価手法の考え方
2)海外等における健康リスク評価との各種係数等の整合性に関する検討

関連する研究課題
  • 0 : 環境リスク研究センターにおける研究活動

課題代表者

青木 康展

担当者

  • 松本 理
  • 蓮沼 和夫
  • 松崎 加奈恵