- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1011CD004
- 開始/終了年度
- 2010~2011年
- キーワード(日本語)
- iPS細胞
- キーワード(英語)
- iPS cells
研究概要
近年、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎といった、小児におけるアレルギー疾患が先進国を中心に増加してきている。この背景には、我々を取り巻く環境の変化、とりわけ、化学物質等による環境汚染の生体影響が懸念されている。特に胎児期は免疫系が成熟する時期であり、造血幹細胞を取り巻く環境、とりわけ化学物質による曝露は、成熟後の免疫応答の異常に繋がる要因となることが危惧されるため、胎児期をターゲットとした毒性評価も必要である。
2006年に京都大学の山中信弥教授らによって樹立されたiPS細胞は、繊維芽細胞などの末梢組織を構築する細胞から人工的に造られた多能性幹細胞であり、体を構築する全ての細胞への分化が可能と考えられている。そのため、iPS細胞は、胚から個体発生に至る胎児期での毒性をin vitroで評価することができる可能性・将来性を持ち合わせている。しかしながら、iPS細胞を用いた毒性評価系としての研究の報告例はほとんどない。
そこで本申請課題では、iPS細胞を用いた造血幹細胞および免疫細胞への分化培養系を検討し、特に化学物質による発生毒性の影響評価系に発展させることを目的とした。また、iPS細胞を用いたin vitro評価系の信頼性を高める目的で、妊娠期マウスに化学物質を曝露し、胎仔の造血幹細胞への影響を調べ、iPS細胞由来造血幹細胞への影響結果と比較を行う。
研究の性格
- 主たるもの:基礎科学研究
- 従たるもの:
全体計画
(H22年度)マウスiPS細胞から造血幹細胞への分化培養系を試み、毒性評価系の培養条件の検索を行う。また、造血幹細胞への分化に対する化学物質の毒性影響を調べる。(H23年度)iPS細胞でみられた毒性影響がin vivoでも観察されるか、妊娠期マウスへの曝露を行い、胎仔への毒性影響から探る。
今年度の研究概要
マウスiPS細胞から胚様体(embryoid body;EB)を形成させた後、造血幹細胞への分化条件を、マーカー遺伝子の発現を分子生物学手手法を用いて解析することにより探る。次に、造血幹細胞に対して毒性が報告されている化学物質の毒性を、iPS細胞の分化培養系で評価する。
- 関連する研究課題
- 0 : その他の研究活動
課題代表者
伊藤 智彦
- 環境リスク・健康領域
生体影響評価研究室 - 主任研究員
- 博士 (環境科学)
- 薬学,生化学