- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 0709CD583
- 開始/終了年度
- 2007~2009年
- キーワード(日本語)
- 底生魚介類,貧酸素水塊,再生産,初期生活史,東京湾
- キーワード(英語)
- megabenthos, hypoxia, reproduction, early life history, Tokyo Bay
研究概要
富栄養化の進行した沿岸域において発生する貧酸素水塊が、水生生物の再生産および生活史初期の加入過程に及ぼす影響を解明することを目的とする。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:
全体計画
H19〜20年度
東京湾においてフィールド調査を毎月1回実施し、水質測定、底泥サンプルの採取、およびシャコとハタタテヌメリのサンプルの採集を実施する。生活史パラメータ(分布、年齢と成長、食性、雌雄の成熟期、1個体あたり産卵数、肝重量指数、肥満度、産卵場および着底場)を明らかにする。産卵量指数の経月変化から、個体群の産卵期について明らかにする。プランクトンネットで得たサンプルから、仔魚・幼生をソーティングする。仔魚・幼生の分布および個体数密度の経月変化を明らかにする。着底後の稚魚・稚シャコの分布、個体数密度を明らかにする。産まれた時期および場所の違いにともなう着底の成否について明らかにする。
フィールド調査によって採集した底泥を用いて、底質およびベントス群集についての調査を実施する。底質に関しては、フィールド調査の現場で測定する酸化還元電位を除く項目(粒度組成、強熱減量、有機炭素、有機窒素、全硫化物)についての測定を実施する。各項目の経月変化および分布を明らかにする。底泥からマクロベントスをソーティングし、分類群の査定、および個体数の計数を行う。個体数密度、種組成、分布、多様度についての経月変化を調査する。水質・底質環境とベントス相の関係について、多変量解析によって明らかにする。
H21年度
東京湾において採集したハタタテヌメリとシャコについて、低酸素誘導因子(hypoxia inducible factor: HIF)のクローニングを行い、完全塩基配列を得る。リアルタイムPCR法により様々な体部位および臓器におけるHIFのmRNA発現量を調査し、どの部位にHIFのmRNAが多く発現するのかを明らかにする。夏季の東京湾において、貧酸素水塊発生水域(貧酸素エリア)および通常酸素濃度水域(対照エリア)から得たサンプルを用いて、HIFのmRNAが発現する体部位または臓器についてリアルタイムPCR法によるmRNA発現量の測定を行う。エリア間におけるHIFのmRNA発現量の差の検定を行い、フィールドにおいてHIFが貧酸素曝露のバイオマーカーとして有用であるかどうかについて評価する。併せて、エリア間における体長および成熟段階の差についても明らかにし、HIFのmRNA発現量との対応関係を予備的に検討する。
今年度の研究概要
東京湾において採集したハタタテヌメリとシャコについて、低酸素誘導因子(hypoxia inducible factor: HIF)のクローニングを行い、完全塩基配列を得た(ハタタテヌメリ:HIF-1a (2962 bp)& HIF-2a (2956 bp), シャコHIF-1a (3742 bp))。系統解析の結果、ハタタテヌメリとシャコのHIFは異なる系統であることが示唆された。ハタタテヌメリにおいてHIFは様々な体器官において発現が認められた一方、シャコでは脳、心臓、生殖腺において強い発現がみられた。フィールドで採集されたサンプルの発現量解析の結果、酸素濃度の低い水域においてHIFの発現量が増加する傾向にあった。
備考
平成21年3月22日〜平成22年3月31日までUniversity of Texas at Austin, Marine Science Institute(米国)にて在外研究を実施。
- 関連する研究課題
- 0 : 環境リスク研究センターにおける研究活動
課題代表者
児玉 圭太
- 環境リスク・健康領域
生態系影響評価研究室 - 主幹研究員
- 博士(農学)
- 水産学,生物学