- 予算区分
- AG 特別研究
- 研究課題コード
- 0608AG506
- 開始/終了年度
- 2006~2008年
- キーワード(日本語)
- 資源循環,嫌気排水処理,水環境保全
- キーワード(英語)
- RESOURCE CIRCULATION, ANAEROBIC WASTEWATER TREATMENT, WATER ENVIRONMENTAL PRESERVATION
研究概要
我々の日常生活や産業活動の結果多量に排出される有機性排水は、環境保全のために好気性微生物処理が施されている。しかし、処理に伴う電力消費は莫大(国内総電力消費の0.6-0.8%)であり、さらに除去有機物の50%程度が産業廃棄物としての余剰汚泥に姿を変えている。それ故、水処理に伴うエネルギーの削減は急務である。また、未利用有機資源の大きなソースである排水から再利用が可能な形のエネルギーを取り出すことは新たな水・有機物循環社会構築のために必要である。他方、下水処理設備を利用できない人は、世界人口の40%超(26億人)に達しており、水を媒介とした健康被害が開発途上国において深刻な問題となっており、処理に伴うエネルギー消費が少ない(維持管理コストが安い)適切な排水処理技術の開発が求められている。以上の様な背景から本研究では、有機性排水の無加温処理に対応した省・創エネルギー型のメタン発酵排水処理技術の開発を行うことを目的とする。
研究の性格
- 主たるもの:技術開発・評価
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
省エネルギーで資源回収が可能なメタン発酵技術は将来有望な水処理技術として注目されている。しかしながら、水温が10-20℃と低く、低有機物濃度である排水処理に現状技術を適用することは、中・高温度域(35℃、55℃)に至適温度を持つメタン生成細菌等の活性維持やバイオリアクター内への菌体高密度保持の観点から困難であった。
そこで本研究では、嫌気性微生物を高密度に集塊化させる生物膜法の利用により本来嫌気性処理には不向きである低温、低濃度の排水処理のメタン発酵処理法の開発を行う。具体的には排水処理(有機物の分解と、メタンへの転換)性能発揮の鍵となる嫌気性生物膜とそれを構成するメタン発酵微生物群集の解析、種々の排水(水温、有機物濃度、有機物組成等の異なる排水等)への提案処理システム適用可能性評価試験、システムの高効率化・最適化法(バイオリアクターの構造、運転方法の最適化)の検討を行う。
今年度の研究概要
生物膜利用型のメタン発酵排水処理装置の運転を継続し、更なる排水温低下が装置の排水処理性能や保持汚泥性状に与える影響評価を行う。また種々の排水有機物濃度、排水循環条件における基質分解特性の把握をラボスケール実験により行い、低濃度排水処理の最適化に関する基礎的知見を収集する。更に、提案するメタン発酵排水処理システムの安定運転、高効率運転のための基礎的知見収集のため有機物分解を担う微生物群集の解析を進め、主要細菌群を同定する。提案排水処理システムの実現化を見据え、実排水への適用可能性評価、後段処理方法(残存有機物などの除去)の検討も開始する。
備考
共同研究先:長岡高専 荒木信夫 教授、広島大学 大橋晶良 教授、長岡技術科学大学 山口隆司 准教授、岐阜高専 角野晴彦 助教
- 関連する研究課題
- : 関連P1 省エネルギー型水・炭素循環処理システムの開発