- 研究課題コード
- 0105PR014
- 開始/終了年度
- 2001~2005年
- キーワード(日本語)
- 液状廃棄物, 富栄養化対策, 水環境改善システム, 窒素リン回収・除去, バイオ・エコエンジニアリング, 開発途上国
- キーワード(英語)
- DOMESTIC AND INDUSTRIAL WASTEWATER, EUTROPHICATION, WATER QUALITY RENOVATION SYSTEM, NITROGEN AND PHOSPHORUS, BIO-ECO ENGINEERING, DEVELOPING COUNTRY
研究概要
21世紀の環境問題における極めて重要な課題の一つとして、し尿や生活雑排水等の液状廃棄物のReduce、Reuse、Recycleの3R対策がある。そこで、これらを目的としたバイオエンジニアリングとしての浄化槽等の活用や土壌・湿地等の生態系に工学を組み込んだエコエンジニアリングを活用した環境低負荷・資源循環型の処理システム技術開発と解析・評価に関する研究に取り組んでいる。これらは開発途上国においても共通する課題であるが、これまで適正な対策技術の開発がなされてこなかったのが現状である。それ故、開発途上国への展開を視野に入れ、環境低負荷・資源循環型の液状廃棄物の処理システム技術開発および活用方策に関する課題について、基盤研究をふまえた実証化研究を重点的に実施することを目的とする。
研究の性格
- 主たるもの:行政支援調査・研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
単独処理浄化槽の高度化、吸着脱リン法の浄化槽および液状廃棄物処理プロセスへの導入、膜分離処理技術、消毒等の維持管理システムの高度化、高度合併処理浄化槽の適正評価技術、硝化菌・リン濃度の 迅速定量法、浄化指標微小動物による迅速評価法、開発途上国の汚染状況と適用可能な技術、ラジカルを活用した物理化学処理技術、再資源化技術の開発、ならびに、AGP・湖沼シミュレーターによる窒素、リン除去効果の解析及び面整備の最適化に係るデータ収集を行う(13年度)。平成13年度に開始した各サブテーマを継続して実施すると同時に、リン資源の回収技術の基盤の確立化と硝化菌・リン濃度の迅速定量法等の実用化システムの確立化を図る(14年度)。前年度までに開発した浄化槽に係わる技術、リン回収資源化技術、適正評価技術の実証化を推進する。また、エコエンジニアリングシステムの運転管理手法の最適化、及び物理化学処理技術と再資源化技術の実証化を検討し、かつ、AGP・湖沼シミュレーターによる窒素、リン除去効果の解析も踏まえ面整備における省コスト、省エネルギー効果を検証する(15年度)。平成15年度の実証化研究を継続するとともに、技術導入に関する制度、政策の適正なあり方の基盤を確立する(16年度)。前年度までの4ヶ年の研究を基にバイオ・エコエンジニアリングと生物・物理・化学的処理を有効に活用した内外への対応可能な省エネ、省コスト、省維持管理型の液状廃棄物対策の技術導入のための環境低負荷・資源循環型の構造、管理を踏まえた制度システムを構築する(17年度)。
今年度の研究概要
(1)再生した担体のリン吸着能について実証試験モデル地区の30基の吸着脱リン導入合併処理浄化槽を用いて評価を行うとともに、吸着脱リンシステム導入のための汎用設計および吸着担体からのリンの脱離・回収、担体の再生・吸着能の活性化などの適正工程のマニュアル化および特許化を図る。さらに、回収したリンの肥料としての活用方策を検討し、確立を図る。
(2)硝化細菌、脱窒細菌の分子生物学的検出手法について、これまでの成果を踏まえて現場で活用可能な手法へと改変し、維持管理技術としての熟成度を向上させる。また、硝化細菌やヒル型輪虫類をはじめとする有用微生物の高密度定着化と維持管理の容易性重視の新規モデルとしての高度処理浄化槽をリン除去システムの導入も含めて試作を行いBOD5.0mg・l-1以下、窒素10mg・l-1以下、リン1mg・l-1以下の性能を可能とする次世代型の高度処理浄化槽設計方法および維持管理方法の指針の構築に取り組む。
(3)人工湿地の実験フィールドや、屋外と屋内のラグーン実験システム、多段土壌トレンチ実験システム等を活用した実用化のためのシステム性能の検証試験を行う。これらの各種処理システム技術の面的整備および普及のために重要な実証化試験から、今後のシステム構築のための設計データやモデリングのためのパラメータ取得を行い、途上国の各国を視野に入れた各種生態工学システムの適正面的整備のための指針の確立化につなげる。
(4)吸着脱リン装置とマイクロバブル化オゾン処理装置を導入したプロセスシステムに関し汚泥減容化、リン回収効率の向上とともに硝化脱窒の効率化を同時に図るための実験的検討を行い本システムの実証化研究を行う。また,水素・メタン二段階発酵プロセスを実用化することを目指し,高濃度糖含有工場排水による中温連続水素発酵,高濃度有機廃棄物による高温連続水素発酵試験を行い,水素・メタン二段階発酵プロセスの最適条件について検討する。また,水素発酵プロセスにおける微生物群集構造解析と水素生成細菌の定量化による分子生物学的解析からのシステムの効率化を図る。さらに、負荷源対策のための各種バイオ・エコエンジニアリングシステムの導入による流域改善効果として各種有毒藻類の増殖特性や藍藻毒産生特性などの基礎的データを取得するとともに、有毒藻類発生シミュレーションの高度化のためのパラメータとして活用を図り、国内のみならず東南アジアや中国などの各地域における富栄養化対策としての直接浄化手法の効果的導入に関する提言を行い、さらに、各種バイオ・エコエンジニアリングシステムの導入の指針となるマニュアル化につなげることとする。
備考
外国共同研究機関:中国環境科学研究院, 瀋陽応用生態研究所, 貴州省環境科学研究所, 貴陽市環境科学研究所, 江蘇省環境科学研究所, 無錫市環境科学研究所, 中国清華大学, 上海交通大学, 南京大学, 中国東南大学, ベトナム国立ハノイ大学, タイ環境研究研修センター, アジア工科大学, タイカセサート大学, インドヴィクラム大学, ニューサウスウェルズ大学