バイオ資源・廃棄物等からの水素製造技術開発（平成 16年度）
Hydrogen System Developments for Biomass Resources and Waste Materials

研究概要

燃料電池の燃料となる水素は,天然ガスやメタノールから製造することが可能であるものの,多様な用途が期待されるバイオ資源や廃棄物からの水素製造についてはその技術が確立していない。それら潜在的利用価値の高いバイオ資源や廃棄物から水素を効率的に製造するため、ガス化改質やガス精製等の技術開発を行い,地域特性に応じた地域内自立型の資源・環境負荷最小化システム,さらには地域間統合に関するシステム解析を行う。

全体計画

都市ごみ,廃木材,汚泥,廃プラスチック類などの潜在的利用価値の高いバイオ資源や多様な廃棄物を対象とし,プロセスからの環境負荷低減に配慮した熱分解ガス化・改質プロセス及バイオ資源ガス化プロセスを開発する。地域特性に応じた廃棄物の発生と移動,回収されたマテリアル/エネルギーの移動(物流)を考慮した地域内自立型の資源消費・環境負荷最小化システムの構築が可能となるようなシステム解析を行う。そして、技術の統合・最適化を図り,さらに地域間統合システムへ拡張するための方策について検討を加える(平成15〜19年度)。

今年度の研究概要

熱分解ガス化による水素製造のための技術開発として,小規模の試験装置を製作、熱分解ガス化・改質操作技術の基礎検討を行い,触媒や多孔質体利用による熱分解ガス化・改質技術の高効率化及びガス洗浄技術の調査検討を行う。また,バイオ資源の生物変換技術の高効率化に向けて、有機廃棄物の可溶化促進技術の適用性調査,メタン発酵の効率化及び水素発酵技術に関する調査と実験を行う。さらに,環境低負荷型高効率水素回収システムの実証研究として,被毒物質の影響等を踏まえた燃料電池の発電特性評価,改質ガスの精製及び水蒸気改質技術の検討を行う。それら技術開発と並行して,地域自立分散型システムの成立条件を検討するため,廃棄物等の水素サイクル資源賦存量評価に係る情報基盤を整備するとともに,適正なリサイクルネットワークのためのモデル開発とパラメータ推定を行う。

備考

環境省地球環境局からの受託調査研究。共同研究機関：トヨタ自動車株式会社，日立造船株式会社