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受賞者氏名:田崎 智宏・寺園 淳・森口 祐一
表彰年月日:平成18年9月4日
賞の名称:論文賞(社団法人 環境科学会)
受賞対象:環境科学会誌第18巻3号掲載の「家電リサイクル法の効力測定」
受賞者からひとこと:
 本受賞論文は,家電リサイクル法の導入効果を様々なデータを駆使して明らかに把握したもので,法のプラス面およびマイナス面を定量的に浮き彫りにさせたものです。例えば,再商品化が順調に行われている状況や消費者も製品を副次的に捨てなくなることといった効果が測定されている一方で,リサイクル料金の低額化には至っていないこと,再商品化の行方がつかめない国外輸出や不明分がかなり残っていることなどの問題点もあることが示されています。現在,家電リサイクル法の見直し検討が行われているところですので,そのための貴重な情報を提供できるものと考えられます。
 また,現在の法制度は,リサイクル法制度に限らず,見直し条項を付すことが多くなっています。見直しには法施行実態の体系的な把握が第一歩となりますので,本論文はリサイクル分野の政策研究のうえでも新たな知見があると考えられます。(田崎)


受賞者氏名:一ノ瀬 俊明
表彰年月日:平成18年9月4日
賞の名称:論文賞(社団法人 環境科学会)
受賞対象:環境科学会誌第17巻5号掲載の「衛星リモートセンシングとメソスケール気象モデルを用いた都市緑地のヒートアイランド緩和効果の評価」
受賞者からひとこと:
 本論文は,衛星リモートセンシングデータを用いることにより,従来の土地利用データでは把握できない宅地内の植木や道路用地の街路樹などの細かな緑地,季節ごとの緑被率を考慮に入れた植生分布から,都市緑地におけるヒートアイランド現象緩和効果について評価を行ったものです。現状の都市緑地の効果がより適確に把握できるようになり,人口密集やエネルギー消費密度の増大によるヒートアイランド現象が懸念される都市域においての都市計画や建築計画に対し,貴重な環境科学的根拠を提供するものであると考えております。私たちは従来,都市の熱環境を中心課題として,それに関連する快適性を志向した街づくりのための研究を進めてまいりましたが,この受賞を励みに,個別のヒートアイランド対策研究について,観測と数値計算,地方自治体における施策展開の体系化といった側面から深化させ,日本・アジアの大都市で実用化できるよう,産官との連携を国際的に進めていきたいと思います。


受賞者氏名:奈良 郁子(NIESポスドクフェロー)
表彰年月日:平成18年9月17日
賞の名称:日本陸水学会最優秀ポスター賞
受賞対象:「霞ヶ浦溶存有機物の放射性炭素同位体比の季節変動」
受賞者からひとこと:
 本研究は,近年日本各地の湖沼で確認されている,溶存有機物(DOM)の漸増現象の解明を,同位体分析手法を用いて試みたものです。DOMの漸増現象は,霞ヶ浦においても確認されていますが,その発生源(湖でできたものか?河川から運ばれてきたものか?)は,いまだに良くわかっていません。本研究では,霞ヶ浦湖水,および周辺河川水試料のDOMの放射性炭素同位体測定を行い,湖水と河川水でその値が明確に異なることを明らかにしました。湖沼環境におけるDOMの放射性同位体測定は,ほとんど行われておらず,非常に新規性の高いデータを発表したことが評価されたと感じています。今回の受賞を励みに,今後も,さらに研究を発展させてゆきたい思います。