「第18回全国環境研究所交流シンポジウム」−廃棄物・リサイクル研究の現在と未来−
酒巻 史郎
平成15年2月19~20日にかけて「廃棄物・リサイクル研究の現在と未来」をテーマに,第18回全国環境研究交流シンポジウムを当研究所の大山記念ホールを会場として開催した。このシンポジウムは,「環境研究に関する研究発表,意見交換を通じて地方環境研究所(以下,地環研)と国立環境研究所(以下,国環研)の研究者間の交流を図り,共同研究等の新たな展開に役立てると共に,環境研究の一層の推進を図ることを目的とする」という趣旨で実施しているシンポジウムで,第1回の昭和61年以来,毎年,第4四半期に開催している。なお,当初は「全国公害研究所交流シンポジウム」との命名で始まったが,「公害」から「環境」へという時代の趨勢に合わせて,「全国環境・公害研究所交流シンポジウム」,そして現「全国環境研究所交流シンポジウム」とシンポジウム名が変遷している。
今回のシンポジウムテーマの設定に際しては,平成14年に国立環境研究所循環型社会形成推進・廃棄物研究センターの循環・廃棄物研究棟が完成したことを受けて,廃棄物・リサイクル関係を取り上げた。当日のシンポジウムは,添付したプログラムに示されたように埼玉県環境科学国際センターの河村清史所長による自治体における廃棄物・リサイクル研究の現況と問題点についての総括的な講演に始まり,身近な不法投棄の問題から,リサイクル・化学物質までの広範な課題についての講演,パネルディスカッションと続き,それぞれ活発な討論が行われた。
なお,シンポジウム両日の延べ参加者は198名に昇り,シンポジウム終了後の見学会にも36名が参加し,新施設の循環・廃棄物研究棟等の所内研究施設を見学していただいた。
【プログラム】
平成15年2月19日(水)
開会挨拶 国立環境研究所理事長 合志 陽一
来賓挨拶 環境省総合環境政策局 総務課環境研究技術室長 徳田 博保
<総論>
(1)「自治体における廃棄物・リサイクル研究」 河村 清史(埼玉県環境科学国際センター)
<不法投棄>
(2)「不法投棄問題解決への研究的アプローチ」 大迫 政浩(国立環境研究所)
(3)「不法投棄現場の把握と実態」 原 雄(千葉県環境研究センター)
<最終処分>
(4)「循環型社会における廃棄物最終処分場の役割と課題」 井上 雄三(国立環境研究所)
(5)「海面埋立における浸出水循環法の適用可能性と内水 池の硫化水素発生防止対策技術の検討」 大庭 俊一(北九州市環境科学研究所)
<リサイクル>
(6)「地域レベルにおける循環の指標」 森口 祐一(国立環境研究所)
(7)「下水処理汚泥からのリン回収と資源化に関する試み」 高橋 正昭(三重県科学技術振興センター)
<化学物質>
(8)「PCBの処理技術と分解メカニズム」 野馬 幸生(国立環境研究所)
(9)「PCB汚染土壌からの溶出と処理対策例」 岡本 拓(広島県保健環境センター)
(10)「プラスチック廃棄物中の有害化学物質の定量」 永瀬 誠(福岡県保健環境研究所)
平成15年2月20日(木)
<計画>
(11)「ごみ処理計画策定時の評価項目について」 寺園 淳(国立環境研究所)
(12)「廃棄物の処理計画とその実効性について-ごみ処理の広域化計画,廃棄物処理計画を例として-」 安田 憲二(神奈川県横須賀三浦地区行政センター)
<パネルディスカッション>
「廃棄物・リサイクル研究の今後について」
司会 酒井 伸一 国立環境研究所
パネラー
貴田 晶子 国立環境研究所
原 雄 千葉県環境研究センター
小野 雄策 埼玉県環境科学国際センター
横山 尚秀 神奈川県環境科学センター
占部 武生 東京都環境科学研究所
山本 攻 大阪市環境科学研究所
岡 正人 岐阜県保健環境研究所
閉会挨拶 国立環境研究所理事 浜田 康敬
施設見学会 (所内各施設等)
目次
- 水面下の環境問題
- 温室効果ガスの収支を数百km規模で推定することは可能か?─大気中の濃度観測からのアプローチ─シリーズ重点特別研究プロジェクト:「地球温暖化の影響評価と対策効果」から
- 化学輸送モデルとILASデータによる極渦崩壊後の成層圏大気の混合の研究シリーズ重点特別研究プロジェクト:「成層圏オゾン層変動のモニタリングと機構解明」から
- 低濃度有害化学物質の刺激作用研究ノート
- 「環境・脳・記憶」環境問題基礎知識
- 研究船「みらい」で迎えた新年海外調査研究日誌
- 「第22回地方環境研究所と国立環境研究所との協力に関する検討会」報告
- 新刊紹介
- 表彰・人事異動
- 編集後記
- 国立環境研究所ニュース22巻1号