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国立環境研究所研究報告 R-168(CD)-2002(平成14年3月発行)
「霞ヶ浦流域管理システム(CD-ROM版)」

 本報告書は,先に書籍で刊行した国立環境研究所研究報告第150号「地理情報システムを活用した霞ヶ浦流域の流域管理に関する研究」のデータを整理し報告書の内容を視覚的に表現するためCD-ROMの形態で出版をした。表示プログラムの関係でWindowsパソコン上でのみの動作,閲覧プログラムのインストールなどこれまでの出版物と比べ特異な出版物であるが,これによって霞ヶ浦流域市町村(阿見町,つくば市,土浦市)の流域環境状況が地理情報システム(GIS)によって視覚的に見ることができるものである。閲覧者が,実際にGIS表示プログラムを操作することにより様々なデータを重ね合わせ,拡大など様々な加工をして見ることができるシステムである。また,空間的な流域環境情報を解析するGISの利用法の一端をかいま見ることができる。

(水土壌圏環境研究領域 松重一夫)

国立環境研究所研究報告 R-169-2002(平成14年3月発行)
「平成12年度ILASプロジェクト報告」

 改良型大気周縁赤外分光計ILASは,高緯度地域成層圏のオゾン層を監視・研究するために環境省が開発した衛星搭載大気センサーである。ILASの搭載衛星ADEOSは,1996年8月に宇宙開発事業団(NASDA)のH-IIロケットにより種子島宇宙センターから打ち上げられ,1997年6月30日に衛星の電源系統の異常により運用を停止した。しかし,この間ILASから大量のデータが取得され,当所において処理されたオゾン濃度分布などのプロダクトが,国内外の研究者に提供されている。これに平行してデータ質の評価,各種検証データによる検証解析が進められ,それらの検討結果に基づく処理アルゴリズムの改訂とデータの再処理が継続して行われている。本報告書は,主として平成12年度に行った改訂・再処理に関連する,ILAS観測データおよび検証実験データの解析,及び検証・比較の結果,ILASデータ気候値,プロジェクト関連成果出版リスト等について,利用者へ基礎情報を提供することを目的として取りまとめたものである。また,特に本年度はILAS技術資料として,ILAS機器,Version 5.20データ処理アルゴリズム,オゾン等の検証などの詳細についても掲載している。

(成層圏オゾン層変動研究プロジェクト 笹野泰弘)

国立環境研究所研究報告 R-170-2002(平成14年3月発行)
「Annual Report of NIES-TERRA, Vol.3」

 環境試料中に含まれる放射性炭素14Cなど,宇宙線によって作られる極微量の長寿命放射性同位体を高感度に測定して,環境の年次変化を解明したり環境中の物質循環の様子を明らかにすることができる。そのための研究拠点として,タンデム加速器分析施設(NIES-TERRA)が設置され平成8年半ばから運用を開始した。本報告は施設レポートの第3号で,これまでの主要な研究成果のうち8課題についての英文報告と,本施設を利用した研究の印刷発表リストが紹介されている。うち7課題は14C測定によるもので,湖底,海底或いは隆起堆積物の年代測定を通じて過去の環境変化を明らかにするもの(3課題),海水そのもののほか,遺跡の骨の年代測定から海水大循環の解明に迫るもの(2課題),個々の環境化学物質毎の年代測定という新しい技術開発を通じて環境中の物質循環,炭素循環の詳細を明らかにするもの(2課題)に大別される。

(化学環境研究領域 柴田康行)

国立環境研究所研究報告 R-171-2002(平成14年3月発行)
「To the interoperable "Catalog of Life" with partners - Species 2000 Asia Oceania」

 地球上に一体何種類の動物,植物,微生物が生息しているのだろうか?この疑問にはまだ誰も答えることができない。Species 2000 は地球上に知られている生物の「種」(英語ではspeciesと言う)のカタログを作ろうという研究活動である。本部は英国にあるが,国立環境研究所はSpecies 2000 Asia Oceaniaの事務局として,種を記載する学問である分類学と分類学にかかわる情報を研究している。南北アメリカでは同じようにITISという機関がスミソニアン博物館に事務局をおいて活動している。Species2000 Asia Oceania はこのような研究にかかわる分類学と情報学の研究者が垣根を低くして,互いに協力しながら,地球規模の生物種データベースを構築できるように,毎年ワークショップ等を日本で開催してきた。この報告は1999年から2001年までのワークショップの記録である。生物多様性のデータベースにかかわる,分類学や生態学の最新の知識と技術,アジアオセアニア地域での研究活動などが45編の論文の中に詳しく紹介されている。

(環境研究基盤技術ラボラトリー 志村純子)

国立環境研究所研究報告 R-172-2002(平成14年3月発行)
「大気中微小粒子状物質・デイーゼル排気粒子に関する研究の動向と今後の課題」

 本報告書は平13年度から17年度の5年間の予定で実施している重点特別研究「大気中微小粒子状物質(PM2.5)・デイーゼル排気粒子(DEP)等の大気中粒子状物質の動態解明と影響評価」(略称:PM2.5・DEP研究)の一環として出版されたものである。
 都市大気中におけるPM2.5やDEPを中心とした粒子状物質による大気汚染を改善するためには,発生源の正確な把握,環境濃度との関連性の解析,並びに疫学・曝露評価,毒性・影響評価を行う必要がある。研究分野は広い範囲に及ぶため,効率良く研究を進めるためには,まず研究の現状や課題を把握し,国立環境研究所の主体的な状況も考慮して重点的に実施すべき研究目標を定めることが必要となる。このような観点から,PM2.5・DEP研究プロジェクトでは研究初年度の前半に集中的に研究レビューの会議を重ね国内外の研究の現状を,それぞれの研究参加者の立場で取りまとめ,今後の課題を展望した。本報告書はPM2.5・DEP研究の網羅的なレビューを試みたものではないが,既刊のレビュー等と合わせてお読み頂くことにより,研究の現状と課題を明らかにできるものと考え公表することとした。本報告書においては,PM2.5・DEPの物理と化学,測定方法,環境動態とモデル,発生源と対策,健康影響の研究の現状,並びに本研究プロジェクトの経緯と今後の課題が取りまとめられている。

(PM2.5・DEP研究プロジェクト 若松伸司)

国立環境研究所研究報告 R-173(CD)-2002 (平成14年3月発行)
「ILAS Version 5.20 Level 2 Data Products」

 国立環境研究所・衛星観測プロジェクトでは,オゾン層観測用衛星センサILAS(Improved Limb Atmospheric Spectrometer;改良型大気周縁赤外分光計)が観測したデータの処理結果を,一般ユーザを対象にCD-ROMとして公開する。本CD-ROMに収録されているデータは,ILASの観測した全期間(主に1996年10月末より1997年6月末まで)のVersion 5.20データ処理結果(オゾン混合比などの高度分布情報:検証済みレベル2データ)と,観測時の気温・気圧などの関連する補助データである。解説やブラウザ画面は英語と日本語とで用意した(一部英語版のみ)。本CD-ROMの収録内容は,インターネットのILASホームページ(http://www-ilas.nies.go.jp/jindex.html)においても公開されている。なお,本CD-ROM収録データの利用に当たっては,今後のアップデート情報通知等のため,ユーザ登録が必要である。

(地球環境研究センター 横田達也)

「環境儀」No.4 熱帯林-持続可能な森林管理をめざして(平成14年4月発行)

 地球上の生物種の半数以上が生息するといわれる熱帯林は近年,急速な速度で減少を続けている。森林面積の直接の原因はプランテーションや農牧地などへの土地利用改変であるが,無秩序な商業伐採も森林の質的劣化を招き盗伐や貧困民による収奪的な焼き畑農業の拡大など,結果的に森林面積の減少を招くケースも珍しくない。今回の「環境儀」第4号では当研究所が平成2年度より森林総合研究所やマレーシアの研究機関,大学と共同で取り組んできた熱帯林の研究について紹介するとともに,生物多様性を視点に入れた熱帯林の持続可能な森林管理とは如何にあるべきか,また熱帯林保全に向けて研究がどんな貢献や支援ができるのかについて従来の研究成果を踏まえた上での今後の研究計画について紹介する。

(生物圏環境研究領域 奥田敏統)