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国立環境研究所年報 平成6年度(A-20-'95)(平成7年8月発行)

 当所の平成6年度の活動状況を総合的に紹介したものである(当所には「年報」とつく刊行物がこのほかに3種類ある)。プロジェクト研究を担当する総合研究部門と基礎研究を行う基盤研究部門における研究活動,成果の発表状況,3センタ-(環境情報センタ-,地球環境研究センタ-,環境研修センタ-)の業務,研究施設の利用状況等をまとめている。研究活動では,経常研究(145課題),プロジェクト研究として地球環境研究総合推進費(環境庁)による研究(11課題),特別研究(9課題),開発途上国環境技術共同研究(3課題),衛星観測プロジェクト,これらの研究に加えて国立機関公害防止等試験研究・環境保全総合調査研究促進調整費(以上環境庁)による研究,国立機関原子力試験研究費・科学技術振興調整費・海洋開発及び地球科学技術調査研究費(以上科技庁)による研究,地方公害研究機関との共同研究(24課題)などが掲載されている。研究成果については,研究所出版物(特別研究報告19号,研究報告134号,資料65~81号,地球環境研究センタ-報告10件),学協会誌等への誌上発表及び学会等での口頭発表の一覧が掲載されている。

(編集委員会委員長 相馬光之)

国立環境研究所特別研究年報 平成6年度(AR-8-'95)(平成7年8月発行)

 特別研究は地域環境研究グループの下で,国内の環境問題解決を目指して集中的に実施するプロジェクト研究であり,この年報は平成6年度に行われた特別研究成果をまとめたものである。本年度には9テーマが実施されたが,以下の8テーマ,「閉鎖性海域における水界生態系機構の解明および保全に関する研究」,「環境保全のためのバイオテクノロジーの活用とその環境影響評価に関する研究」,「湿原の環境変化に伴う生物群集の変遷と生態系の安定化維持機構に関する研究」,「環境中の有機塩素化合物の暴露量評価と複合健康影響に関する研究」,「湖沼環境指標の開発と新たな湖沼環境問題の解明に関する研究」,「都市型環境騒音・大気汚染による環境ストレスと健康影響に関する環境保健研究」,「環境負荷の構造変化から見た都市の大気と水質問題の把握とその対応策に関する研究」,「ディーゼル排気による慢性呼吸器疾患発症機序の解明とリスク評価に関する研究」は継続課題である。このうち「閉鎖性海域」に関する研究は本年度が最終年度であり,閉鎖性海域における水生生物の増殖(内部生産)とその抑制、青潮発生の予測システム等について成果をあげている。本年度新たに開始した特別研究としては「廃棄物埋立処分に起因する有害物質暴露量の評価手法に関する研究」がある。

 個々のテーマごとの成果は国立環境研究所研究報告等にとりまとめられるが、それとは別に要点をわかりやすくまとめた本報告書を特別研究の全容を理解するため広く活用していただけると幸いである。

(地域環境研究グループ統括研究官 森田昌敏)

国立環境研究所地球環境研究年報 平成6年度(AG-5-'95)(平成7年8月発行)

 本報告書は国立環境研究所で遂行している地球環境研究総合推進費による平成6年度の研究成果を取りまとめたものである。日本におけるオゾンレーザーレーダー観測の強化のほか,国際共同観測に参加して,東シベリアヤクーツクにおいてエアロゾル及び水蒸気濃度,及びエアロゾル粒径分布の気球観測を実施した。北極圏にとどまらずヤクーツクも明瞭なオゾン減少が見られた。オゾンや関連大気微量分子の高度分布,または気柱全量を昼夜を問わず高い精度で測定できる衛星利用レーザー長光路吸収法を確立し衛星の打ち上げを待つ段階に至っている。紫外線の増加が遺伝子に損傷を与える可能性について動物の組織細胞のマーカ遺伝子,あるいは植物の遺伝子損傷産物として知られピリミジン二量体を測定することで行ってきた成果を報告している。地球温暖化現象解明に関する研究,各種の水域からのメタン発生量推定についてかなり明確に示す段階に近づきつつある。シベリアにおいては温暖化により,将来メタン発生量の増加が見込まれるだけに集中した調査研究が行われた。二酸化炭素についても地球上の各圏からの発生量について引き続いて測定が行われた。特に同位体比から循環の詳細が解明されることが期待できる。地球気候モデル研究の進展としてこれまで遅れていた降水量の推定が示された。地球の温暖化影響・対策に関する研究として,アジア地区の温室効果ガスのより高い精度の排出量の予測値が出された。ここではCO2削減技術の評価から人の健康に関する研究成果も報告されている。酸性雨に関する研究においては,越境汚染が主テーマとなるが鉛と硫黄の同位体比が実体をよく反映すると報告されている。海洋汚染及び熱帯林,野生生物に関する研究についてもかなりの量の報告がなされているが,次年度には第一次段階の研究がまとめられるはずである。砂漠化と人間活動の相互影響評価に関する研究は終了し,この報告が最後となる。まさに乾燥地における土地利用のきびしさが示されている。世界の人口,経済,ライフスタイルなどを総合的に考慮し持続可能な発展を目指した研究としての総合化研究も含まれている。また,本年度打ち上げ予定の衛星観測に関連してその研究成果がまとめられている。

(地球環境研究グループ統括研究官 安野正之)