- 予算区分
- 基盤B
- 研究課題コード
- 2124CD001
- 開始/終了年度
- 2021~2024年
- キーワード(日本語)
- 廃村,避難指示区域,耕作放棄,里地里山,生物多様性
- キーワード(英語)
- Abandoned village,Evacuation zone,Land abandonment,SATOYAMA,Biodiversity
研究概要
人口急減・少子高齢化、地域の過疎化に伴う無居住化・耕作放棄等の人間活動の縮小は生物多様性を脅かすとされているが、どの程度の空間規模、期間で影響が生じるのか、また、どこまで許容できるのか、に関しての知見は乏しい。本研究では全国規模の廃村調査に基づくデータと大規模な無居住化・耕作停止が発生した福島県におけるデータ等を統合することで、広域における耕作放棄人間活動縮小の影響が生物分布にもたらす影響を予測・定量化するとともに、それによる生物多様性・生態系サービスの損失を最小限に留めるための時空間的優先順位付けに資するシミュレーションツールを開発する。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:技術開発・評価
全体計画
1.生物分布データ統合
応募者らが取得した福島県及び全国の廃村の生物分布データ、それを補完する行政機関が取得しているデータ等複数のデータソースからなる指標生物群のデータセットを下記3の統計モデルが構築可能な形に整備する。
2.景観・土地利用履歴データベースの構築
1.において収集した福島と廃村、近隣集落の生物分布データに関して周辺の土地利用情報(樹林・草地・水域(水田含む)・人工物)を整備する。
3.無居住化-生物分布動態予測モデルの構築
上記で収集したデータを統合し、地域依存性を考慮しながら無居住化の空間範囲及び時間範囲及び放棄時の景観要素バランスから指標生物群の分布の時空間動態を予測する統計モデルを構築する。
4. 景観要素バランス評価予測シミュレーターの構築
人口分布の空間動態の2050年までの将来シナリオを設定する。無居住化の時空間情報と、無居住化時の景観要素のバランスを上記の生物分布予測モデルに入力、シナリオ毎の予測結果と、生物多様性・生態系サービスの指標分類群評価を可視化するツールを構築する。
今年度の研究概要
引き続き、福島県及び全国の廃村の指標生物(人間生活と関係が強く、かつ、データが入手可能な生物群)の分布データセットの取得・整備を継続するとともに、生物分布データ取得時と管理放棄・停止時(データがない場合、なるべく近い年)の土地利用情報の整備も進める。得られたデータを用いて、階層モデル、状態空間モデル(データ同化)の手法によって地域依存性を考慮しながら無居住化の空間範囲及び時間範囲及び放棄時の景観要素から指標生物群の分布の時空間動態を予測する統計モデルを構築する。また、それらの予測結果を可視化するシミュレーターの構築にも着手する。統計モデリングの対象となる指標生物群は、廃村データセットでの分析が進んでいる(例えばSugimoto et al. 2022 P
roceedings of the Royal Society B: Biological Sciences Vol. 289にて公表)チョウ類等の送粉昆虫において先行することを計画している。
- 関連する研究課題
- 26415 : PJ1_人口減少社会における持続可能な生態系管理戦略に関する研究
- 26430 : PJ2_被災地域における環境影響評価及び管理研究
- : 災害環境分野(ウ知的研究基盤整備)