- 予算区分
- BA 環境-地球推進
- 研究課題コード
- 0509BA937
- 開始/終了年度
- 2005~2009年
- キーワード(日本語)
- 温暖化,熱中症,熱ストレス
- キーワード(英語)
- GLOBAL WARMING, HEAT STROKE, HEAT STRESS
研究概要
気温の上昇によって増加が予想される死亡や熱中症、睡眠障害などの直接的なインパクト、および、光化学スモッグ発生増加によるリスクの増大や日本脳炎、あるいは国内での流行は現在見られないものの潜在的なリスクが懸念されるデング熱、西ナイルウィルスなどの媒介性感染症による間接的なインパクトについて、リスクが増大するレベル、すなわち閾値について検討を行う。併せて、人口の将来推計などを加味した定量的リスク評価、経済コストへの変換のための手法を開発する。
研究の性格
- 主たるもの:行政支援調査・研究
- 従たるもの:応用科学研究
全体計画
本研究では、健康面で温暖化に感受性を示すリスク群について閾値やリスク関数をとりまとめ、温暖化予測に伴うリスクの増大あるいは適応策オプションによる低減について数量的に示す。また、これらのリスクを単位リスク当たりのコストで示すことがより適切と考えられることから、定量化された健康リスクを経済指標に変換する方法を検討し、経済指標で示すことも試みる。
今年度の研究概要
アジア地域の気候変動による健康リスク評価と適応策に関する研究
これまでに中国3都市の健康リスク評価手法の基本的な検討を終えているので、今後、
中国CDCおよび地域CDCとの共同研究を拡大。対象はASEAN諸国と日本、韓国および中国の13カ国を気候分類で区分し、それぞれの代表的な小地域(都市部が多い)を追加調査する。感染症(SARS, 鳥インフルエンザ、日本充血吸虫など。疾患としては下痢症、肝炎などの実態調査情報を整理するほか、死亡リスクについては、死因コードを細分類まで落として検討する。なお、これまでの基本的な死亡リスク解析によって、寄生虫や消化器系感染の多発地域にある南京はハルビンより4−5倍高く、その脆弱性の原因が暑熱ストレスでは説明できないことから、前者が脆弱性を高めている可能性も示唆されている。なお、WHO提示している複雑な間連要因連関図にもあるように多くの関連情報を執して解析にいたるまでには、多くの労力が必要と予想している。また、黄砂等についてはとくに関連情報の収集を行う。対象地域はこれまでのハルビン、南京および広州の3都市に2−3都市を追加して、死因別死亡リスクの解析をこれまで整理検討した方法により実施する。また、すでにメトロマニラ全域、およびマレーシア・クアラルンプル(病院ベースの登録)を用いた共同研究体制ができている。さらにインドネシアの参加について検討中。
備考
?適応策を考慮した温暖化の健康リスクの定量化・経済指標化とマッピングに関する研究
(DALYs)(小野雅司・兜真徳,筑波大学・本田靖)
?温暖化と死亡リスクに関する研究(筑波大学・本田靖)
?温暖化と熱中症・熱ストレスに関する研究(小野雅司)
?温暖化に伴う大気汚染のリスクに関する研究(田村憲治)
?別枠)節足動物媒介性感染症の発生に及ぼす地球温暖化の影響予測に関する研究
(国立感染症研究所・倉根一郎)
- 関連する研究課題
- : 関連P6 温暖化の危険な水準と安定化経路の解明
課題代表者
小野 雅司
担当者
-
田村 憲治