「森林生態系炭素収支観測研究」のあゆみ
地球環境研究センターが推進する地球環境モニタリングプロジェクト課題「森林生態系炭素収支モニタリング」を基盤として、以下の観測研究が推進されてきました。
モニタリングサイトの活動経緯
1999年に国立環境研究所地球環境モニタリング事業として「北方林における温室効果ガスフラックスモニタリング」が採択され、翌年3月にかけてカラマツ林を対象とする観測サイトを北海道苫小牧国有林に整備し、同年7月から苫小牧カラマツ林(苫小牧フラックスリサーチサイト)での観測が始まりました。
次いで2001年、北海道大学・北海道電力(株)との共同研究を北大天塩研究林で行うことが決まり、5~6月に北大天塩研究林に観測サイト(天塩CC-LaGサイト)を整備、7月から森林生態系の炭素収支観測研究を開始しました(既存林;針広混交林)。さらに既存林を皆伐し(2002年12月~2003年3月)、カラマツ苗の植樹(2003年10月)を行い、再植林カラマツのCO2フラックス観測をしています。
一方2004年9月、苫小牧サイトが台風により全壊したため、代替サイトとして富士北麓カラマツ林を選定(同年12月)、2005年10月より観測サイトの整備、2006年1月から観測を開始しました。なお、苫小牧サイトは観測規模を大きく縮小して観測を再開しています(2009年3月で終了予定)。
関連研究の経緯
- 地球環境研究総合推進費B-3「アジアフラックスネットワークの確立による東アジア生態系の炭素固定量把握に関する研究」
(2000~2002年度)
- 地球環境保全等試験研究費(地球一括計上)「地域規模の二酸化炭素排出・吸収源評価方法の開発」
(2001~2003年度)
- 地球環境研究総合推進費S-1「21世紀の炭素管理に向けたアジア陸域生態系の統合的炭素収支研究」
(2002~2006年度)
- 科学研究補助金「台風18号による自然撹乱が北方森林の炭素交換量および蓄積量に与える影響の評価」
(2005~2007年度)
- 科学技術振興調整費「次世代アジアフラックスへの先導」
(2005~2007年度)
- 地球環境保全等試験研究費(地球一括計上)「アジア陸域炭素循環観測のための長期生態系モニタリングとデータのネットワーク化促進に関する研究」
(2007~2011年度)
森林生態系炭素収支モニタリング研究は次のスタッフ、組織によって実施されました(所属は当時、敬称略)。
研究担当者
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地球環境研究センター藤沼 康実、小熊 宏之、梁 乃申、高橋 善幸、鳥山 敦、中路 達郎、武田 知巳、平田 竜一、犬飼 孔、 油田 さと子、郷司 尚之、井手 玲子、中台 利枝
客員研究員
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文字 信貴、鱧谷 憲(大阪府立大学)、山本 晋、三枝信子(産業総合技術研究所)、原薗 芳信(農業環境技術研究所)、松浦 陽次郎、中井 裕一郎(森林総合研究所)(共同研究機関に所在する客員研究員を除く)
共同研究機関
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北海道大学北方生物圏フィールド科学センター・農学部・工学部、北海道電力株式会社総合研究所、信州大学、静岡大学、北海道環境科学研究センター
協力機関
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林野庁北海道森林管理局、苫小牧市水道部、山梨県森林環境部、富士吉田市、富士吉田市外二ケ村恩賜県有財産保護組合、環境省生物多様性センター