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青海・チベット・モンゴル高原における草原生態系の炭素動態と気候変動に関する統合的評価と予測(平成 23年度)
Integrated assessment and prediction of carbon dynamics in relation to climate changes in grasslands on the Qinghai-Tibetan and Mongolian Plateaus

予算区分
KB JST
研究課題コード
0913KB002
開始/終了年度
2009~2012年
キーワード(日本語)
炭素収支,草原,温暖化,気候変動,アジア
キーワード(英語)
Carbon budget, Grassland, Warming, Climate change, Asia

研究概要

上記のような背景で、本研究は以下の主な目的がある。まず、青海・チベット高原とモンゴル高原の草原生態系において、炭素蓄積量の空間パターンと代表的な生態系CO2交換速度の時間変動を明らかにする。 つぎに、上記空間パターンと時間変動に及ぼす気候変動と人為的影響(主に放牧影響)、及びそれぞれの生態的メカニズムを解明する。その結果を利用し、複数の生理生態ベースのモデルを使って、異なる気候変動条件下で当該草原生態系の炭素収支の変化、及びその変化に及ぼす気候変動の影響の予測を行う。さらに、これらの結果から、当該地域の温暖化防止や炭素管理のための政策提案を行う。一方、本研究の実施によって、日中両国の若手研究者に研究交流の場を提供し、今後の交流を深めるための基礎を作る。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

1)共同調査:
1,2年目を中心に展開する内容である。二つの共同調査を計画している。一つ目は植物の生理生態特性と土壌調査である。これらの調査は、いままでの調査がカバーしていない地域だけに絞って展開する。もう一つは携帯式チャンバーを利用し、異なる草原生態系の炭素フラックス(生態系光合成と生態系呼吸)を測定する。

2)モデルの共同研究:
主に3年目の内容である。本研究では、炭素収支に関わる生態系モデルの研究において日本と中国から最も優秀な若手研究者が参加している。日本からの研究者は生理生態学に強みを持ち、一方中国側の研究者は植生の空間的パターンなどに豊富な知識を持つ。これらの研究者の協力によって草原生態系の炭素収支に関わる諸プロセスとパターン、及びそれぞれに関わる生態学的メカニズムの解明が期待される。

3)共同ワークショップと検討会の開催
ワークショップを3回開催する予定である。一回目は、プロジェクトを実施する初期の2010年5月前後、内容はこれまでの関連研究の纏め、今後の研究展開についての発表と討議である。場所は中国の青海草原で行う予定である。2011年5月のワークショップは主に研究の進捗状況の報告と次年度の研究計画についての討議を行う。場所はつくばである。プロジェクトの終了時、内モンゴルか北京で2012年12月ごろ、成果発表会を開催する。

4)学生の交流
本研究では、今後日中両国の生態学分野での研究協力を目指すため、本研究に関わる研究機関と大学において、若い世代の学生の間の研究交流を積極的に進める予定である。具体的に、日本からの大学生と大学院生は中国での研究調査を通じて関連研究機関と大学の学生との短期交流を図る。一方、中国からの大学生または大学院生は、日本の研究機関と大学でデータの解析や論文の作成を通じて、短期間の研究交流を進める。

5)共同データベースの構築とモノグラフの出版
本研究で取得した炭素蓄積とCO2フラックスなどのデータをより有効に利用するため、これらのデータをデータベースにして適切な形と時期で公開する予定である。
また、本研究の3年目に本研究のこれまでの研究成果を共同でまとめ、モノグラフとして出版する予定である。

今年度の研究概要

本研究の主な目的は、青海・チベット草原とモンゴル草原における炭素蓄積量の空間パターンとCO2収支の時間動態、及びそれぞれに影響を及ぼす環境要因とメカニズムを解明する。そのため、日本側は主にCO2収支の動態とその影響要因との関係の解明、及びリモート・センシングデータを利用した広範囲のCO2収支の推定を行う。一方、中国側は主に広域の炭素調査データの解析を行う。平成23年度には、日本側はこれまで中国草原で行われてきた研究を継続し、炭素収支に及ぼす放牧状況と気候変化の影響を評価するためのデータ解析とモデリングを行う。一方、中国側は草原生態系の植生・土壌炭素調査の空白部分の追加調査結果を解析し、東アジア草原全体の炭素収支の評価を行う。さらに、日中双方は若手の交流を中心に、共同研究集会と短期訪問も予定している。

外部との連携

中国側の共同研究者(リーダ):
Fang Jingyun(方精雲) 北京大学・都市と環境学院生態学系 教授
日本側の共同研究者:
小泉 博 早稲田大学・教育学部 教授
浅沼 順 筑波大学・陸域環境研究センター 教授
杜 明遠 独立行政法人農業環境技術研究所・地球環境研究 上席研究員
小熊宏之 独立行政法人国立環境研究所・地球環境研究センター 主任研究員
伊藤昭彦 独立行政法人国立環境研究所・地球環境研究センター 研究員
大塚俊之 岐阜大学・流域環境研究センター 教授
廣田 充 筑波大学大学院・生命環境科学研究科 准教授

関連する研究課題

課題代表者

唐 艶鴻