- 予算区分
- AF 奨励
- 研究課題コード
- 0910AF004
- 開始/終了年度
- 2009~2010年
- キーワード(日本語)
- 希少鳥類,ヤンバルクイナ,事故死,トキソプラズマ,生態系の健康
- キーワード(英語)
- endangered avian species, Okinawa rail, accidental death, Toxoplasm gondii, ecosystem health
研究概要
希少鳥類の交通事故死が人間社会からのトキソプラズマ(Tp)感染によって増悪される可能性を検証し、希少鳥類個体数の減少を阻止することは緊急の課題である。Tpは人間社会のネコから、自然生態系の希少鳥類に感染する可能性があり、哺乳類では行動異常による事故死が報告されている。ここではヤンバルクイナをモデルとして、Tp感染率と交通事故率の関連性を解析、事故現場の環境・個体要因を併せて解析し、総合的な事故減少対策の可能性を検討する。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:基礎科学研究
全体計画
希少鳥類を含む生態系の健康に影響する人為的要因の一部を解明するモデルとして、ヤンバルクイナを用い、交通事故と疾病の関係について検討する目的で、以下の3つのテーマで研究を行う。
1)ヤンバルクイナおよび生息地域でのトキソプラズマ(Tp)汚染状況の調査
凍結保存されているヤンバルクイナの組織及び血液を用いて、PCR法による抗原の検出とラテックス凝集反応等による抗体の検出を行う。また、生息地域の汚染状況を把握するために、マングース、ネコ、野ネズミ、ミミズ、カタツムリ等の調査も併せて行う。
2)交通事故とTpおよびその他の要因との関連性の検討
交通事故死数、Tp感染率、その他の環境要因(季節、時間帯、天候、周辺植生、交通量、地理的要因)及び個体要因(年齢、性別、遺伝的系統、Tp以外の疾病汚染状況)の相関を分析する。
3)ヤンバルクイナの事故死数と個体群への影響評価
2003〜2009年に蓄積したデータをもとに、ヤンバルクイナの繁殖率、生存率、死亡率等を算出し、それをもとにPVA(生存可能性分析)により事故死の影響を分析する。
今年度の研究概要
増加する希少鳥類の交通事故死と環境・個体要因に重点を置いて検討する。加えて、事故死が個体群数に与える影響も評価する。本研究では、脳に寄生し行動異常を誘起するトキソプラズマ(Tp)の蔓延状態をヤンバルクイナ個体とその生息域をモデルとして抗原・抗体検出法により解析し、Tp感染と事故死との関連性を評価する。
- 関連する研究課題
- 0 : 環境保全に有用な環境微生物の探索・収集・保存、試験用生物等の開発及び飼育・栽培のための基本業務体制の整備、絶滅の危機に瀕する野生生物種の細胞・遺伝子保存