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2020年10月26日

共同発表機関のロゴマーク
途上国におけるごみ処理の改善に向けた
「機械選別・生物処理(MBT)ガイドライン」
の発行について

(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会同時配付)

令和2年10月26日(月)
国立研究開発法人国立環境研究所
IGES-UNEP環境技術連携センター
 

   国連環境計画 国際環境技術センターが実施しているプロジェクトの一環として、途上国における合理的な廃棄物の適正処理技術の導入を支援する、機械選別・生物処理(Mechanical and Biological Treatment: MBT)技術の導入に向けた「MBTガイドライン」を執筆・発行し、webで公開いたしました。
 

1.MBTガイドラインについて

   途上国の都市では生活ごみは未処理のまま埋立処分されるのが一般的で、水質汚濁や感染性への懸念など生活環境への影響や、温室効果ガスの排出による地球環境への影響が懸念されています。また、資源・エネルギー価値を持ったまま廃棄物が埋立処分されることも、資源効率性の観点から、改善が必要な状況にあります。機械選別・生物処理(MBT)技術は、廃棄物の減量を通じた環境負荷の低減と、エネルギー回収を通じた資源効率性の改善の双方に貢献可能な技術として注目を集めています。MBT技術は、低コストでの運転が可能で、技術や運転の現地化が容易な点においても途上国の廃棄物処理への適用性が注目されています。
   MBTは単なる廃棄物の処理技術ではなく、廃棄物の分別排出や収集システム、小規模事業者・個人による資源物の抜き取り、産業界でのエネルギー利用の状況など、社会全体の影響が関係するプロジェクトです。そのため、途上国での導入にあたっては、地域の都市計画や産業の状況に応じて、プロジェクトの実施や適正な運営に必要な情報を整理する必要があります。MBTに関する技術的知見やプロジェクトの運営経験に乏しい廃棄物管理の政策立案や政策決定に関わる関係者らを対象に、プロジェクトの導入可能性の検討・評価材料の提供を目的として「MBTガイドライン」(英語)を国立環境研究所およびIGESの研究者らが執筆しました。
   MBTガイドラインでは、MBTの技術的な特徴とMBT導入にあたって求められる地域の社会的、制度的、財政的なバックグラウンドを紹介するとともに、環境面での効果、資源・エネルギー面での効果、財政面の改善可能性について解説しています。対象とする廃棄物の性状、回収される資源や生産される固形燃料の価値、残さの適正な取り扱いなど、地域社会や市場の持つ外的な制限要因との間に存在する複雑な相互関係を整理し、知見を提供しています。
   本ガイドラインは、国連環境計画(UNEP)国際環境技術センター(IETC)およびIGES-UNEP環境技術連携センター(CCET)が国立環境研究所および廃棄物資源循環学会の協力のもとで制作・発行している、廃棄物管理技術に関するガイドラインシリーズのひとつです。このガイドラインシリーズは、途上国の政策立案や政策実施に関わる関係者らが、国あるいは自治体レベルにおいて、廃棄物管理の改善にあたり適切な技術を選択し、それに関連する実施政策を遂行することを支援する目的で制作されています。

MBTガイドラインの写真

2.問い合わせ先

【MBTガイドライン】
国立研究開発法人国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター
主任研究員 石垣 智基

【廃棄物管理技術に関するガイドラインシリーズ】
IGES-UNEP環境技術連携センター(CCET)
プログラムコーディネータ— 辰野 美和

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