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環境ゲノム科学研究推進事業(平成 31年度)
Project for the Promotion of Environmental Genomics Studies

予算区分
AQ センター調査研究
研究課題コード
1620AQ007
開始/終了年度
2016~2020年
キーワード(日本語)
環境ゲノム,DNAバーコード,全ゲノム,バイオインフォマティクス
キーワード(英語)
environmental genomics, DNA barcode, whole genome, bioinformatics

研究概要

国立環境研究所には希少性が高い日本固有種が保存されているが、ワシントン条約等の制約により、海外の研究機関でゲノム解析を行うことは困難であるため、国立環境研究所で全ゲノム解析を実施して、ゲノムデータを公開することが求められている。一方で、東日本大震災に伴う福島第一原発事故のような災害時に、野生生物が遺伝子レベルでの影響を受けた際に比較のための指標となる普遍的野生種の全ゲノム情報の充実も不可欠である。
また、自然共生プログラムでは、霞ヶ浦や小笠原諸島において環境ゲノム解析手法による詳細な食物連鎖等の解析や分布調査をおこなう予定である。より実用性の高い成果を出すためには、種判別のための正確性の高いDNAバーコードデータの存在が大前提となる。
さらに、所内において環境微生物からヒトまで幅広い生物を対象とした全ゲノム解析、メタゲノム解析、遺伝子発現解析などの様々な環境ゲノム研究が推進されている。インフラの提供や解析支援等を集約することで、研究のスタートアップの迅速化、研究規模の拡大などが望まれてきた。 そこで本事業では、1.希少性が高い生物、環境問題の原因となっている生物及び国内に広く分布している指標生物について全ゲノムのドラフト解析をおこない公表する。2.霞ヶ浦や小笠原諸島など環境研究の対象となる地域に分布している生物のDNAバーコード取得を実施し、環境DNAの多様性解析を行うことで自然共生プログラムを推進する、3.環境微生物を対象としたメタゲノム解析や有用細菌株のドラフトゲノム解析のサポート、実験動物やヒトを対象としたゲノム解析パイプラインの構築や高度化に向けた検討等、所内ゲノム関連研究推進のための支援を行うことを目的とする。
全ゲノム解析については、絶滅危惧種を中心に、5年間で10種以上の全ゲノムのドラフト配列の公表を目指す。DNAバーコードの取得は5年間で500種を目標とする。

研究の性格

  • 主たるもの:モニタリング・研究基盤整備
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

1.タイムカプセル棟および微生物系統保存施設で保存している国内絶滅危惧種、環境問題に関わる生物及び遺伝的影響を伴う災害時等において指標となる国内指標生物について、毎年2〜3種のドラフトゲノム情報および40種のDNAバーコードを取得して公開する。

2.自然共生プログラムの研究者と連携し、霞ヶ浦や小笠原諸島等で採取した生物群について4,000箇所(300種程度)のDNAバーコードの取得し、国際データベースおよび独自のデータベースにおいて公表する。環境および生物試料から得られたDNAに対し、バーコード情報に基づく種判別をおこなう。これらの結果は自然共生プログラムに提供され、食物網解析、生物分布解析に用いられる。

3.国環研におけるゲノム科学研究の中核組織として、所内ゲノム関連研究の支援を行う。環境微生物を対象としたメタゲノム解析、有用細菌株のドラフトゲノム解析、遺伝子発現解析等のサポートするため、インフラの提供や依頼分析の受注、解析支援等を行う。また、実験動物やヒトを対象としたゲノム解析パイプラインを構築し、解析方法についての個別相談に対応する。さらに、ゲノム解析パイプラインで使用するサーバーの管理とプログラムの更新をおこなう。

今年度の研究概要

1.これまでに解読したドラフトゲノム配列について、さらに公表を進める。また、より精度の高いデータベースを作成して公表する。

2.霞ヶ浦や小笠原諸島等で採取した生物群について100種程度のDNAバーコードの取得し、国際データベースおよび独自のデータベースにおいて公表する。

3.国環研におけるゲノム科学研究の中核組織として、依頼分析の受注、解析支援等を行う。塩基配列データ解析の高度化を図る。

外部との連携

酪農学園大学、京都大学、岩手大学、帯広畜産大学

課題代表者

中嶋 信美

  • 生物多様性領域
    環境ゲノム研究推進室
  • シニア研究員
  • 農学博士
  • 生物学,農学,生化学
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担当者