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環境水サンプルの保存環境が溶存態放射性Cs濃度変化におよぼす影響(平成 30年度)
Influence of storage environment of water sample on

予算区分
AS 災害環境研究
研究課題コード
1818AS001
開始/終了年度
2018~2018年
キーワード(日本語)
放射性セシウム,溶存態,保存条件
キーワード(英語)
radiocesium, dissolved, reservation condition

研究概要

懸濁物質を比較的多く含む環境水(出水時河川水、ため池水)を採取し、固液分離処理を行うまでのサンプル保存環境や保存日数によって溶存態放射性Cs(以下、137Cs)濃度がどのように変化するか、について調査を行う。また、137Cs濃度の変化をもたらす要因として、液相の共存物や固相の性状などとの関係を明らかにする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

環境水中の溶存態137Csは生物への移行が起こりやすいため、福島県内を中心に様々な地点で観測が行われている。しかし採取された水サンプルは、固液分離処理が行われるまでしばらく現場に放置されたり、実験室に持ち帰った後に冷蔵保存されたりすることが多く、その間に溶存態137Cs濃度が変化する事例がいくつか観測されている。この現象は懸濁物質への137Csの吸着や溶出等が原因と思われるが、懸濁物質の性状やサンプル水の保存環境が137Cs固液間平衡にもたらす影響は明らかになっていない。そこで本研究では、サンプル水の保存による溶存態137Cs濃度変化のメカニズムを明らかにし、現場採水後の速やかな固液分離処理の必要性を評価する。

今年度の研究概要

懸濁物質を多く含む環境水として、1)森林河川水(出水時)、2)都市河川水(出水時)、および3)ため池水(平水時)の採水を行う。これらの水を一部分取し、採水後なるべく速やかにメンブレンフィルタを用いてろ過を行う。残りの水を実験室へ持ち帰った後、それぞれ(1)冷凍、(2)冷蔵、(3)常温の3条件で保存する。(1)は保存開始から1週間後、(2)(3)は1週間後・1ヶ月後・3ヶ月後を目処に、遠心分離+メンブレンろ過によって固液分離を行い、ろ液を蒸発濃縮等で処理した後、ゲルマニウム半導体検出器に供して溶存態137Cs濃度を測定し、それぞれの保存条件において、保存日数に対する溶存態137Cs濃度の変化を観測する。また、溶存態137Cs濃度が変化するメカニズムを把握するため、ろ液についてはNH4+・溶存有機炭素(DOC)等の共存物濃度等を、遠心分離で得た固相については懸濁物質濃度、全有機物含有量、クロロフィル量などの測定を行い、有機物の微生物分解によるCs溶出、採水時からの温度低下による固相への吸着等の影響を確認する。

外部との連携

農研機構 東北農業研究センター、農研機構 農業環境変動研究センター

課題代表者

辻 英樹

  • 福島地域協働研究拠点
    環境影響評価研究室
  • 主任研究員
  • 博士(農学)
  • 農学
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