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HFCと温室効果ガス削減対策のオゾン層回復に対する有効性評価に関する研究(平成 30年度)
A Research for Validity Evaluation of HFC and GHG Reducing Measure for Ozone Layer Recovery

予算区分
BA 環境-推進費(委託費) 2-1709
研究課題コード
1719BA011
開始/終了年度
2017~2019年
キーワード(日本語)
オゾン層,オゾン層破壊物質,温室効果ガス,HFC,化学気候モデル,アンサンブルシミュレーション
キーワード(英語)
ozone layer,ODS,GHG,HFC,CCM,ensemble simulation

研究概要

大気中のGHGの増加は気候変化(温暖化)によってオゾン量を変化させる。これによってフロン減少の将来シナリオによって予想されるオゾン層の回復時期が影響を受ける。また、大気の内部変動に由来するオゾン量の年々変動も大きく、これによって北極ではある年に突発的にオゾン量の少ない状態が最近起こっている(Manney et al., 2011, Nature)。大気の内部変動によるオゾン量の変動の大きな緯度帯では、オゾン破壊による有害な紫外線増加のリスクを避けるという意味では、温暖化によって期待されるオゾン層の平均的な振る舞いはあまり意味を持たず、むしろ突発的に起こる極端なオゾン破壊をいかに避けるかの方が重要である。逆に大気の内部変動の小さい緯度帯では平均的な振る舞いが重要な意味を持つ。このような大気の内部変動が存在する中でのGHG増加によるオゾン層の変動解析・回復時期の推定を、地球上の緯度帯毎に行ってグローバルな知見として体系づけ、今後温暖化が進行する中でハロゲン濃度やHFC濃度がどの程度であれば有害な紫外線を増加させる極端なオゾン破壊を地球上のあらゆる場所で避けることができるかに関する知見を提供する。そのためには化学気候モデルを精緻化する必要があり、IPCCの最新の温暖化予測モデル(MIROC6)にオゾンに関係する光化学反応過程を導入した化学気候モデルの開発を行う。この化学気候モデルを用いて、ODS濃度、GHG濃度を将来予想される値に設定した多アンサンブル実験を行い、アンサンブルの各メンバーのオゾン量の分布および平均値のODSおよびGHG依存性、気温の分布およびその平均値の依存性、極端な現象が起こった時の気象場の状態の解析等を緯度毎に月または季節単位で行う。また、CO2、CH4、N2O、HFC等、増加するGHGの種類による影響解析・評価を行う。同様な実験と解析をこれまでに開発を行った気候特性の異なる化学気候モデルでも行い(MIROC3.2およびMIROC5化学気候モデル)、結果の比較から本質的な部分を抽出する。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

2017年度
1. MIROC6化学気候モデルの開発
2. MIROC3.2化学気候モデルを用いた500アンサンブル実験と解析 
2018年度
1. MIROC6化学気候モデルの検証
2. MIROC5化学気候モデルを用いた500アンサンブル実験と解析
2019年度
1. MIROC6化学気候モデルを用いた500アンサンブル実験と解析
2. 3つのモデルの解析結果に基づくオゾン層変動の分析・評価

今年度の研究概要

1. MIROC6化学気候モデルの検証
MIROC6化学気候モデルのオゾン全量、風速、気温のグローバル分布を観測値と比較して、モデルの検証を行う。また、ODSとGHG濃度の将来シナリオを使ったオゾン層の将来予測実験を1アンサンブルだけ行い、1960年〜2100年の期間のODSとGHGの変化に伴うオゾン量変化が、MIROC3.2化学気候モデル、あるいはMIROC5化学気候モデルによる計算結果と比べて、不自然な変化になっていないかどうかを確認する。

2. MIROC5化学気候モデルを用いた500アンサンブル実験と解析
前年度にMIROC3.2化学気候モデルを使って行ったのと同様な、複数のODS濃度とGHG濃度の組み合わせによる実験および解析を、MIROC5化学気候モデルを使って行う。

関連する研究課題

課題代表者

秋吉 英治

  • 地球システム領域
    気候モデリング・解析研究室
  • シニア研究員
  • 博士 (理学)
  • 物理学,地学,コンピュータ科学
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担当者