- 予算区分
- CD 文科-科研費
- 研究課題コード
- 1618CD013
- 開始/終了年度
- 2016~2018年
- キーワード(日本語)
- 水銀,生物移行,動態モデル,曝露評価
- キーワード(英語)
- mercury, biotransport, dynamic model, exposure assessment
研究概要
水銀に関する水俣条約(水銀条約)が採択・署名され、近い将来、人為的な排出量の削減に向けた国際的な対策が講じられることになる。本課題では、我々がこれまでにPOPsや水銀の動態研究で蓄積してきたモデル、データ、知見を広く統合し、水銀条約の有効性を評価するための方法論を構築する。具体的には、水銀の全球多媒体モデルに有害性の高いメチル水銀を導入し、メチル水銀の水産物中の濃度から人への曝露と起源を推定するためのサブモデルを統合する。これにより、「任意の国/地域における排出量の削減が、任意の国/地域に住む人へのメチル水銀の曝露リスクをどの程度低減させるのか」を地球規模で推定することができるようになる。
研究の性格
- 主たるもの:応用科学研究
- 従たるもの:
全体計画
平成28年度には、メチル水銀を含む海洋-底質における水銀動態をモデル化し、水銀の全球多媒体モデルFATE-Hgに導入する。また、メタ解析に基づき、メチル化/脱メチル化を含む形態変化とメチル水銀の海洋生物への移行に関するモデルパラメーターを検討する。平成29年度には、水産物の漁獲、貿易、摂取に関する全球統計データを整理し、メチル水銀の海洋生物中の濃度から人への曝露量を推定する手法を構築する。また、発生源の寄与率を推定するためのポストプロセッサーを作成する。平成30年度には、FATE-Hgにこれらのサブモデルを統合し、モデル検証と不確実性解析を実施する。
今年度の研究概要
海水と底質中における、メチル化、脱メチル化を含む形態変化とメチル水銀の海洋生物への移行を計算するサブモデルを作成し全球多媒体モデルFATE-Hgに導入する。本サブモデルでは、元素状水銀、酸化態水銀、モノメチル水銀、ジメチル水銀の4形態を取り扱い、海水中における元素状水銀と酸化態水銀間の酸化還元反応、海水と底質中におけるメチル化と脱メチル化、及び海洋生物への生物移行が考慮される。主要なモデルパラメーターは、各種形態変化の速度定数、プランクトンへの生物濃縮係数、及び、プランクトンから魚類への食物網蓄積係数である。これらのモデルパラメーターを、文献調査に基づき推定、又はモデル化する。
課題代表者
河合 徹
- 環境リスク・健康領域
リスク管理戦略研究室 - 主任研究員