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化学物質の作用機序に基づく生物試験手法の開発(平成 26年度)
Development of Bioassay method based on mode of action of chemical

予算区分
AQ センター調査研究
研究課題コード
1115AQ026
開始/終了年度
2011~2015年
キーワード(日本語)
化学物質,生物試験,複合的曝露,変異原性,内分泌攪乱作用
キーワード(英語)
chemical, bioassay, combined exposure, mutagenicity, endicrine disrupting activity

研究概要

実際の環境で曝露される化学物質の総体のリスクを把握するために、Combined Exposure(複合的曝露)によるハザードの評価を行い、リスクを評価する手法を開発する。
 本課題では(1)大気中の有害化学物質(特に多環芳香族炭化水素、PAH)や内分泌攪乱物質について、複合的曝露の初期的(primary)リスク評価のケーススタディーを行い、さらに(2)in vitroあるいはin vivoの生物試験法を活用して、詳細なリスク評価に必要な有害性情報を得る。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

1.有害大気汚染物質の変異原性・発がん性の評価手法の開発
(1)有害大気汚染物質のうち多環芳香族炭化水素(PAH)類に注目して、有害性(変異原性/発がん性等)・曝露量が既知の都市大気中のPAHについて、初期的リスク評価のケーススタディーを行う。さらに、in vitro試験法(Ames test, umu testなど)やin vivo試験法等のバイオアッセイにより、有害性未知のPAH酸化体(ニトロ体PAH、キノン体PAH)の変異原性等の有害性を定量的に評価し、RPF (Relative Potency Factor)などリスク評価に必要な情報を得る。これらの有害性や曝露量の情報を基にPAH、およびPAH酸化体を含むPAH類を対象に詳細なリスク評価を検討する。  
(2)実際の大気から採取した粒子状物質・半揮発性成分等を分析・定量し、さらに変異原性をバイオアッセイにより評価して、実際の大気中に存在する化学物質総体が示す有害性の程度を明らかにする。これにより、1)有害性を発揮する主成分を検索し、2) 大気成分総体の影響に占める既知の化学物質の寄与率を明らかにする。  
2.生物試験法による内分泌攪乱物質の複合的曝露によるリスク評価手法の開発
(1)抗アンドロジェン物質など新たな作用機序(MOA)をもつ化学物質に対応したin vivo試験法(魚類)を開発する。
(2)各種受容体導入酵母アッセイを用いた活性スクリーニングを概ね600種類の化学物質を対象として実施し、RPF算出など複合的曝露の影響評価に活用できるようデータベースとしての公開を目指す。
(3)新規に開発した手法による情報を取り入れつつ、内分泌攪乱物質のほか緊急の対応が必要な化学物質について、わが国の実情に即した複合的曝露のケーススタディーを行う。

今年度の研究概要

1.有害大気汚染物質の変異原性・発がん性の評価手法の開発
浮遊粒子抽出物に含まれるベンゾ[a]ピレンなどの発がん性が知られるPAHや、1,6-および1,8-ジニトロピレンをはじめとしたニトロ化PAHなどの既知の多環芳香族炭化水素類について、ガスクロマトグラフ/質量分析計、高速液体クロマトグラフ/蛍光分析計などを用い定量する。さらにまた、in vitro試験で変異原性が知られる多環芳香族キノンなどについて定量分析法を確立し、定量する。また、in vitroおよびin vivo変異原性の知見をもとにその大気試料の変異原性に対する寄与を算出し、さらに、ニトロアレーン類など主要な変異原物質の変異原比活性を調査・実測して、環境試料の総体としての毒性評価等を進める。
 また、平成25-26年度に得た浮遊粒子抽出物の生体内変異原性から、発がんリスクを推定する方法を検討する。例えば、体内変異原性から50%の発がん率を示す用量(TD50値)を推定し、さらに、この値から浮遊粒子のユニットリスク(UR; 0.1 x (10%の発がん率を示す曝露濃度(ng/m3))-1)を推定する等を検討する。
2.生物試験法による内分泌攪乱物質の複合的曝露によるリスク評価手法の開発
各種受容体導入酵母アッセイを用いたアゴニスト活性スクリーニングを概ね600種類程度の化学物質を対象として実施しつつ、データベースを構築し、公開を目指す。

課題代表者

青木 康展

担当者

  • portrait
    中島 大介環境リスク・健康領域
  • 松本 理
  • 鑪迫 典久
  • 白石 不二雄