ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

ナノファイバーのインフラマゾーム形成機構と毒性評価に関する研究(平成 26年度)
Inflammasome activation and toxicity evaluation of nanofibers

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1415CD001
開始/終了年度
2014~2015年
キーワード(日本語)
ナノファイバー,マクロファージ
キーワード(英語)
nanofiber, macrophage

研究概要

粒子状物質と細胞や組織との反応は、細胞内に取り込まれてから毒性を発現し生理機能を攪乱する一般の化学物質とは異なり、細胞膜への直接作用が初期反応であり、かつその後に細胞内に起こる様々なイベントも細胞膜と粒子表面との反応に端を発しているものと考えられる。細胞内への粒子状物質の取込み機構が明らかとなれば、新規素材が用いられた粒子状物質やナノ粒子の細胞障害性機構も明かとなることが期待されることから、本研究においては、粒子表面と反応性の高い細胞膜表面分子を探索し、インフラマゾームを中心とする細胞内変化を調べることにより、ナノマテリアルの中でも特にナノファイバーに注目して毒性評価を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:応用科学研究

全体計画

粒子の貪食関与しているマクロファージや、マクロファージに発現している貪食関連膜タンパク質を強制発現させた細胞を用いたin vitro実験を行う。 初代培養の肺胞マクロファージは実験動物より気管支肺胞洗浄を行うことにより回収し、株化された培養細胞との比較を行う。 繊維状粒子は,細胞内においてインフラマゾームを形成し、様々な炎症反応に繋がることが予想されている。ここでは、肺胞表面に沈着した粒子の肺組織内への取り込み過程と、その後の炎症反応機構について実験的に解析する。

今年度の研究概要

繊維状粒子状物質は、通常の球体形状の粒子と異なり、粒子の計測方法も確立していない。しかし、細胞や組織の粒子に対する反応性は、粒子表面の物計測量と強く関連することが予想されることから、ここではナノファイバーの動的光散乱法を用いたキャラクタリゼーションと培地への分散方法、細胞への曝露方法を確立する。細胞として粒子状物質のターゲット細胞である肺胞マクロファージ、およびマクロファージの貪食レセプターであるMacrophage Receptor with Collagenous Structure (MARCO)を安定的に発現させたCHO細胞を用いる。これらの細胞に、加熱処理によりエンドトキシンを除去した多層カーボンナノチューブ,酸化チタンウィスカー、陽性対照として尿酸ナトリウム針状結晶を曝露して、細胞障害性を調べる。これらのタンパク質の中で、マクロファージについてはMacrophage Receptor with Collagenous Structure (MARCO)が候補の一つであることは既に見いだしているが、細胞によって粒子状物質の取込みに関与する膜タンパク質が異なると考えられること、また、必ずしも単一のタンパク質のみで粒子の貪食やエンドサートーシスが起こるのではないと考えられることから、クラスリンや細胞骨格を形成するアクチンや中間フィラメントなどのタンパク質についても解析を行う。

課題代表者

平野 靖史郎