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広域人為インパクトによる東シナ海・日本近海の生態系変調の解明(平成 26年度)
Analyses of the impact of the anthropogenic pollution on the ecosystem of the East China Sea and the sea around Japan

予算区分
AA 中核PJ
研究課題コード
1115AA042
開始/終了年度
2011~2015年
キーワード(日本語)
東シナ海,長江,人為起源汚濁負荷,生態系
キーワード(英語)
East China Sea, Changjiang River, Anthropogenic Pollutants Loading, Ecosystem

研究概要

東アジア陸域起源の汚濁負荷増大が東シナ海陸棚域における赤潮発生等の広域海洋環境劣化を引き起こしていることが懸念される。本プロジェクトでは、東シナ海や日本近海の環境保全、あるいは中国国内の汚濁負荷削減施策の推進に資することを目的として、長江流域圏の汚濁負荷推計、海域への汚濁輸送と海洋生態系への影響機構の把握、陸域起源汚濁負荷が及ぼす海洋環境への影響評価のための数理モデルの開発を行う。特に、陸域汚濁負荷推計では、土地利用や環境政策の変化に応じて予測可能な手法の確立と将来の陸域負荷削減シナリオを提示し、海洋生態系モデルとの連携により、陸域・海域の統合的広域環境管理オプションの定量的な評価を目指す。

今年度の研究概要

(1)長江流域圏から東シナ海への汚濁負荷量の予測手法の開発
水物質循環モデルを用いた長江流域から海域への汚濁負荷流出量評価システムの向上のため、長江最下流の大通観測ステーションでの水質観測を継続し、検証データの拡充を図る。大気経由の陸域への窒素沈着について、東アジアPG/PJ1が解析予定の再現計算値を導入し、大気沈着量の変化が河川水質および海域への汚濁流出に及ぼす効果について検討を行う。陸域から海域への将来の汚濁負荷流出量の変化を予測するために、サブ3で行う社会経済シナリオに基づく汚濁負荷発生排出インベントリを水物質循環モデルに入力・統合する手法の検討を行う。

(2)東シナ海陸棚域の生態系劣化機構の解明
東シナ海への河川経由の汚濁負荷や大気経由の窒素沈着が海洋生態系に及ぼす影響を評価予測するため、航海観測、室内実験、海洋流動・生態系モデルの改良を実施する。流動・生態系モデルの開発では、底層から表層混合層への栄養塩供給動態や亜表層の密度躍層に集積する鞭毛藻類の動態に関して課題を残している。前者については、過年度までにLarge Eddy Simulationを用いて検討してきた新たな乱流スキームの導入によりその解決をめざす。後者の鞭毛藻類の動態に関しては、当該藻類の密度躍層への集積や日周鉛直移動に関与すると考えられる細胞比重の日変化を室内実験で測定し、生態系モデルへの導入と再現性向上効果を検討する。また東アジアPG/PJ1において解析予定の大気から海洋への窒素沈着の再現計算値を活用し、大気窒素沈着が海洋環境に及ぼす影響についても検討を行う。

(3)陸域・海域統合環境管理に向けた陸域負荷削減シナリオの検討と海域環境の応答予測
前年度までに構築した長江デルタ地域の社会経済活動による水需要・汚濁負荷物質排出インベントリの作成手法に基づき、長江全流域における将来の汚濁負荷排出インベントリを予測する手法の開発に着手する。具体的には、社会センターが開発中の2000年代前半から2030年までの中国社会経済シナリオと産業部門別総産出額を活用し、将来シナリオごとの産業部門別用水量・汚濁負荷物質排出インベントリを作成する。また、将来の用水量・汚濁排出インベントリのサブ1水物質循環モデルへの入力・統合化手法の確立を図るとともに、陸域・大気双方からの汚濁負荷を統合的考慮した海域環境の将来予測・応答評価を実施する。

外部との連携

水産総合研究センター西海区水産研究所、立正大学、名古屋大学、アジア経済研究所、中国科学院地理資源研究所、長江水利委員会、浙江海洋学院、華東師範大学、清華大学、南京大学、中国環境保護部、中国環境科学院

課題代表者

越川 海

  • 地域環境保全領域
    海域環境研究室
  • 室長(研究)
  • 博士(工学)
  • 理学 ,工学,生物学
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担当者