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国際資源循環に対応した製品中資源性・有害性物質の適正管理(平成 26年度)
Appropriate management of materials with hazard and resource potentials in harmony with international material cycles

研究課題コード
1115AA021
開始/終了年度
2011~2015年
キーワード(日本語)
国際資源循環,資源性,有害性,電気電子機器廃棄物
キーワード(英語)
International Material Cycles, Resource Potential, Hazard Potential, E-waste

研究概要

国内と国際社会(主にアジア)において3Rを促進する適正管理方策について、物質(製品、素材を含む)のフロー把握・解析と製品ライフサイクル挙動調査に基づいた提言を行うことを目的とする。日本を中心に国際的に流通する資源・材料・製品を対象として、国内外のスケールで資源性の観点からリサイクルが期待される要素と有害性の観点から規制が必要な要素について、システム分析とフィールド調査を統合した体系的な成果獲得と考察を行う。これらの成果に基づき、国際資源循環に対応した製品中資源性・有害性物質に関する、国内外の適正管理方策のあり方を提言する。
1.国際的に流通する資源・材料・製品のフロー把握とシステム分析
国際的に流通する資源・材料・製品を対象(日本に関係する循環資源を主な対象とする)として、それらのフローを把握しながら、国際資源循環のモデル分析、資源回収技術の評価といったシステム分析を行う。すなわち、貿易統計や産業連関表等を活用した統計分析によってマテリアルフロー・サプライチェーンを把握するとともに、循環資源の分析モデルの設計や資源回収技術の評価・類型化を含めて国際資源循環のシステム分析を行う。
2.資源性・有害性を踏まえた製品、物質の循環管理のためのフィールド研究
製品組成・フロー情報とライフサイクル物質挙動の情報について調査・実験で取得しつつ、現在のリサイクル・廃棄過程における資源性を有する物質の挙動や回収性、有害物質の環境排出や影響を国内外のフィールドで把握し、より効果的な資源回収や有害物質の環境排出削減のための課題解決について検討を進める。
3.国際的な循環型社会形成に向けた管理方策の提案
サブテーマ1、2において蓄積したケーススタディーの成果に基づいて、製品及び物質の管理方策の現状とその将来像について体系的な整理を行う。国内外の資源循環に対応した物質管理のあり方について、ESM(環境上適正な管理)基準の考え方や必要な輸出入規制施策などを含めて、政策的な見通しを持った提言を行う。

今年度の研究概要

1.国際的に流通する資源・材料・製品のフロー把握とシステム分析サプライチェーン分析については、時系列での解析を視野にいれてニッケル、コバルト等の国際サプライチェーンデータ整備・精緻化を進める。また、動学MFAモデルの開発と時間軸を加味した資源の散逸量の推計を進める。さらに、ニッケル等の資源利用の高度化・高効率化に向けて、スクラップに随伴する元素の分配傾向の解析や、関連事業者等のステークホルダーとの交流・情報交換などに取り組むとともに、物質循環像の具体化を進める。また、効果的な情報伝達のための解析結果の可視化に取り組む。

2.資源性・有害性を踏まえた製品、物質の循環管理のためのフィールド研究
海外のフィールド調査では、化学物質全体のリスクガバナンスの観点から総合的なアプローチとして、発生源からの汚染排出実態把握に加え、農作物も含む総合的な曝露実態把握に向けた地域スケールでの環境汚染調査に取り組む。定点での時系列的な汚染の推移、リサイクルプロセス別の汚染拡散性、曝露実態調査に基づくリスク評価など、複眼的な視点で環境影響評価に取り組む。

3.国際的な循環型社会形成に向けた管理方策の提案
製品中資源性・有害性物質の環境上適正な管理(ESM)に関して、要件の検討を継続する。先進国と途上国におけるESM施設の実行可能性を技術と規模面から検討し、越境移動のルール作りと合わせて、ESM事例と普及の課題を提示する。有害性・資源性管理に着目したESMレベルの枠組みについて、3段階程度に応じたESMレベルの適用可能性を検討する。国内では、金属スクラップなどの不適正な取扱いや輸出に関する分析と防止対策を検討する。

外部との連携

(1) 東京大学、シドニー大学 (豪州)

(2) 愛媛大学、京都大学、仙台高専、フィリピン大学 (フィリピン) 、ハノイ工科大学 (ベトナム) 、バンドン工科大学 (インドネシア)

(3) アジア経済研究所、ルンド大学 (スウェーデン) 、チュラロンコン大学 (タイ) 、バーゼルフォーラム (韓国) 、清華大学 (中国)

課題代表者

寺園 淳

  • 資源循環領域
  • 上級主席研究員
  • 博士(工学)
  • 工学
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担当者