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沿岸海域環境の診断と地球温暖化の影響評価のためのモニタリング手法の提唱(平成 25年度)
Proposal of monitoring method to assess coastal sea environments and influences of global warming

予算区分
AH 地環研
研究課題コード
1113AH002
開始/終了年度
2011~2013年
キーワード(日本語)
沿岸海域,モニタリング,COD,底層DO
キーワード(英語)
coastal sea , monitoring, COD, DO in bottom layer

研究概要

現行の公共用水域常時監視(測定計画)に欠落している水質形成の機構解明,観測の時間密度,未測定項目を補完することを目的に,以下の課題を実施する。
現在,全国の沿岸海域環境で見られている非汚濁海域におけるCODの漸増傾向と環境基準超過要因を明らかにすると共に,世界中の沿岸海域においても顕在化している貧酸素水塊発生状況を把握するために,底層溶存酸素(DO)未測定海域に多項目水質計を用いた測定を実施し,実態把握を行う。
 また現行の地方環境研と国立環境研によるC型共同研究課題「地球温暖化がもたらす日本沿岸域の水質変化とその適応策に関する研究」において設置された簡易の海水温連続観測網を拡げ,地球温暖化による海水温上昇の解析に適用する。
 以上の提案実施項目は,現行の公共用水域常時監視において必ずしも十全に行われている内容ではなく,公害・水質汚濁監視から沿岸海域環境構造診断のための観測へと移行するための端緒とし,得られた知見は環境省で現在検討されている底層DOの新規水環境目標・環境基準策定に資する情報となり,今後の沿岸海域水環境の観測方法の在り方の提案に寄与するものであると考えられる。

研究の性格

  • 主たるもの:行政支援調査・研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

各地方環境研から要望の多かった海域でのCODの漸増・環境基準超過要因の解明を行うために,分析機関毎の測定値の分散(バラツキ)が問題視されている全国の海域CODを統一的に分析すると共に,形態別の有機炭素や内部生産との関係を明らかにすることにより,CODに関連する水質の状態・内訳を全国的に比較・検討出来るようになる。
 また,現在環境省で新規水質目標・環境基準として検討されている底層DOの測定を全国の沿岸部で実施し,未測定海域での実状を明らかにする。
 一方,平成22年度に終了したC型共同研究「地球温暖化がもたらす日本沿岸域の水質変化とその適応策に関する研究」において全国四箇所の沿岸海域に設置・運用を開始した簡易連続海水温観測網を拡大しつつ引き続きデータを取得することにより,常時監視において間欠的に測定されてきた海水温データによる温暖化影響評価の検証が可能となる。
 以上から,現行の公共用水域常時監視で欠落している項目を補完・実施することにより,沿岸海域水環境構造診断のための観測方法の提案を行う。

今年度の研究概要

過年度実施してきたCOD・有機炭素類の組成分析や底層DOの観測を行いつつ,蓄積された試験・調査結果の解析を行う。
 また水温ロガーによる簡易式海水温連続観測データを活用して,各水域における成層の発達・解消時期を見計らうと共に,間欠的に取得されている公共用水域常時監視(測定計画)における海水温データとの照合・比較を行う。
 最終的には,非汚濁海域におけるCODの漸増・基準超過の要因の把握と,底層DOの水質基準設定に資する知見を付与できるよう成果物を取りまとめる。

外部との連携

共同研究機関:宮城県保健環境センター、山形県環境科学研究センター、新潟市衛生環境研究所、新潟県保健環境科学研究所、千葉県環境研究センター、[公財]東京都環境公社・東京都環境科学研究所、川崎市環境総合研究所、静岡県環境衛生科学研究所、富山県環境科学センター、石川県保健環境センター、京都府保健環境研究所、[地方独法]大阪府環境農林水産総合研究所、神戸市環境保健研究所、[公財]ひょうご環境創造協会・兵庫県環境研究センター、徳島県立保健製薬環境センター、高知県環境研究センター、広島県立総合技術研究所保健環境センター、福岡市保健環境研究所、長崎県環境保健研究センター、宮崎県衛生環境研究所、鹿児島県環境保健センター、沖縄県衛生環境研究所

課題代表者

牧 秀明

  • 地域環境保全領域
    海域環境研究室
  • 主幹研究員
  • 工学博士
  • 生物工学
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