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日中の比較研究による環境産業拠点の統合的評価モデル(平成 25年度)
Integrative(EMERGY) evaluation model for eco-innovation centers

予算区分
ZZ 個別名を記載 JSPS二国間交流事業
研究課題コード
1315ZZ002
開始/終了年度
2013~2015年
キーワード(日本語)
エマジー
キーワード(英語)
EMERGY

研究概要

アジア地域が世界の「生産拠点」として機能の拡大が続く中で、国際的な製品供給と消費の両面で担う機能を高めつつ、地域と地球への環境影響を制御する地域の産業システムの再構築が緊急の課題となる。本研究では生産機能の効率と規模で、世界のトップランナーとしての役割を担っている日本と中国の産業拠点都市・地区を対象に、国際的な統合指標として研究開発が進むEMERGY理論を活用し、両国の産業構造や地域特性を超えて評価してアジアの規準を提示できる、国際共通の「統合的産業環境効率の評価モデル(環境都市・地区EMERGY(エマジー)評価モデル」の構築をめざす。日本側研究者が主にこれまで日本の産業共生都市(エコタウン)および中国の環境配慮型工業都市(国家生態工業園)を対象にして行ってきた環境都市シミュレーションシステムと、空間LCA(ライフサイクルアセスメント)の手法の研究蓄積を活用して、中国側研究者が主体的にアジアでの開発を進めてきた、産業プロセスの非再生資源への負担を地域資源とエネルギーについての「統合的産業環境効率の評価モデル(環境産業都市・地区EMERGY評価モデル)」を開発する。世界を先導する日中両国の産業拠点都市を対象に科学的な比較評価モデルを構築し、その利用性を実証することによって、生産技術、環境技術とともに社会制度システムについて、日本と中国双方の行政、企業間での共有、移転して活用することの効果を定量的に算定することを可能にする。統合的な評価モデルの構築によって、アジアの経済成長のなかで環境と経済が両立しうる産業都市の「グリーン成長」の解決法を設計するガイドラインシステムを提供する。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:

全体計画

実施計画:
初年度:地域産業共生評価モデル(都市EMERGY評価モデル)の理論の開発と解析プロセスの構築 
・日中双方の研究者が瀋陽で都市EMERGY評価モデル構築のフレームワーク・全体計画を作成する。
・中国科学院応用生態研究所が設計した産業地区評価システムを日本の産業都市への適用へ検証・改善し、産官学連携の全国スケールでの調査(アンケートおよびヒアリング)体制を構築する。
・日本では、環境省、経済産業省が開催する全国エコタウン大会の準備検討において、国際共通基準となりうる評価システムを協議する。
・中国瀋陽、日本川崎で国際会議を開催して、都市EMERGYモデルの産官学連携での協議を行う。
研究交流 : 2013年4月、8月、3月 

2年度:地域産業共生評価モデルを用いての日中産業拠点地区の実証的評価研究
・中国科学院瀋陽応用生態研究所が中国の生態工業園に対する全国での調査を計画・実施し、結果分析を行い中国におけるEMERGYモデルによる比較調査を行う。
・中国側の調査結果(データ)を共有し、日本の産業共生都市を対象にしたアンケート調査を設計して解析を行う。両国調査結果を共有して要因分析、循環生産関数モデルによる解析等を通じて政策効果分析を行う。
・日中研究交流の中間報告会を開催し、都市EMERGYモデルと社会実証解析プロセスに関する日中専門家の意見交換を行う。日中産業拠点都市のEMERGYモデル解析による比較研究の結果とモデル検証を行う。
研究交流: 2014年6月、9月、12月

3年度:産業拠点地区の形成・更新プロセス(日中、アジアの政策ガイドラインとしての社会展開)
これまでの日中における環境産業拠点都市・地区の解析結果を整理し、形成更新のプロセスの要因を抽出してアジアへのガイドラインシステムとしての情報発信を行う。
・国立環境研究所の研究チームは日本のエコタウンを対象に、中国科学院瀋陽応用生態研究所の研究チームは、中国の生態工業園の政策・技術要素分析をおこない、産業地区の環境効率改善要素を説明する都市生産解析モデルを構築する。
・都市EMERGYモデルに関する国際ワークショップを開催し、環境共生型産業拠点システムのアジアへの展開についての、国際研究ネットワークでの情報発信を進める。
・成果報告書と今後の提携計画を作成する。
研究交流: 2015年4月、7月、9月、12月 

今年度の研究概要

人材交流・シンポジウムの開催
・平成25年8月1日〜15日:Geng Yong教授(研究代表者), Bing Longfei研究員, Yu Xiaoman氏, Liu Zuoxi氏が国立環境研究所社会環境システム研究センターを訪問。
・平成25年9月1日〜10日:藤田壮センター長、藤井実主任研究員、平野勇二郎主任研究員、戸川卓哉特別研究員、大西悟特別研究員が中国科学院応用生態研究所を訪問。
・二国間シンポジウムの開催。
主催:独立行政法人国立環境研究所、中国科学院応用生態研究センター
テーマ:Emergy、産業共生、生態工業園、エコタウン、循環経済、低炭素
暫定日時:平成25年9月第2週の2日間
参加予定者:日中の専門家および国際的な研究者、40名程度

平成25年8月の訪問において、中国で先行的に設計しつつある都市評価システムの情報共有および理論構築のための議論を行い、日本での適応に向けた改善・一般化等の検討および9月に向けた研究分担の検討を行う。平成25年9月の訪問では、平成25年8月の議論および研究分担の成果を共有し、他の専門家を交えた二国間ワークショップなどを通じて、地域産業共生評価モデル(都市EMERGY評価モデル)の理論の開発および解析プロセスの構築のためのフレームワーク・全体計画を作成する。

国際会議
・平成26年2月:第10回アジア・太平洋エコビジネスフォーラム(開催地:川崎市)
主催:川崎市
共催予定:国連環境計画 国際環境技術センター(UNEP/IETC)
後援予定:独立行政法人国立環境研究所
参加予定者:瀋陽市(中国)、ペナン(マレーシア)、バンドン(インドネシア)などアジア・太平洋地域諸国の都市、環境省、独立行政法人 国立環境研究所(NIES)、公益財団法人 地球環境センター(GEC)、一般財団法人 日本環境衛生センター(JESC)、財団法人 地球環境戦略
研究機関(IGES)、企業等

国際会議での専門家として、Geng Yong教授(研究代表者)を招聘する。ここで、他の国際的な専門家・実務者など産官学の関係者との議論を通じて、都市EMERGY評価モデルの実用性の向上、意思決定への反映方法を検討し、評価モデルの信頼性を高める。

外部との連携

共同研究機関:中国科学院瀋陽応用生態研究所

課題代表者

藤田 壮

担当者