ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

大陸に由来するアジアンスモッグ(煙霧)の疫学調査と実験研究による生体影響解明(平成 25年度)
Investigating the health effects of Asian smog transported from Asian continent by epidemiological and experimental approaches.

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1315CD008
開始/終了年度
2013~2015年
キーワード(日本語)
アジアンスモッグ,健康影響,大気汚染,PM2.5,疫学
キーワード(英語)
Asian smog, Health effects, Air pollution, PM2.5, epidemiology

研究概要

西日本では 2 月〜5 月にかけて空が霞む現象が頻繁に起こり,これをアジアンスモッグと呼んでいる。この現象は黄砂によるものと煙霧によるものである。煙霧とは「乾いた微粒子によって視界(視程)が 10km 未満となった場合」の気象用語であるが、大陸に由来する人為的固定・移動発生源の一次的、二次的生成物の硫酸エアロゾルや黒色微小粒子(PM2.5)等によるものである。そのため黄砂と共に煙霧の健康影響に関しても懸念が高まっている。
 そこで本研究では以下の3つの疫学研究によって多角的に煙霧やPM2.5の健康影響評価を行う。煙霧が頻繁に発生する福岡地域を中心として、身体の発達期の小児を対象としたパネル研究(1)、呼吸器疾患者を対象とて日々の肺機能と煙霧飛来との関連(2)について調べるための疫学調査を行う。また、救急搬送データを用いて煙霧やPM2.5と救急搬送リスクとの関連について明らかにする(3)。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

平成25年度:(1)福岡市内の小児の呼吸器症状に対する影響を評価するパネル研究のための準備調査を行う。(2)医療機関における肺機能疾患患者を対象とした調査のための準備(質問票作成など)(3)北部九州地域における過去の救急搬送など既存アウトカムデータを収集し、目視やライダー分析による煙霧情報を組み合わせ、疫学的評価に必要な統合データセットを作成する。
平成26年度:(1)煙霧の飛来するシーズン(3〜5 月)に、小学校高学年を対象に延べ日数約1か月程度の症状日記を記録する。(2)3 月〜5 月に福岡市内の医療機関において、呼吸器疾患(気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患等)の治療のために通院している患者を対象とし、日々の呼吸器症状およびピークフロー値の記録を行う。観察項目には、日々の予防行動の有無(外出を控える等)や、治療薬の増減、症状の増悪による受診等の項目も含める。(3)統合データセットを用いて、アウトカムデータの整理・抽出を行い、統計学的手法を用いて、日々のアウトカム変動と目視及びライダーによる煙霧の影響について定量的に評価する。これらの結果の情報を新たな曝露指標の作成に用いる。
平成27年度:(1)〜(3)の解析実施と結果の公表

今年度の研究概要

(1)小児の呼吸器症状に対する影響を評価するパネル研究のための準備調査:福岡市内にある常時大気監視測定局付近(1.5km 以内)より調査実施予定校を選定し、PM2.5 濃度を測定している監視局地域の数校の小学生高学年を対象に、アンケートや症状日記の記録を主体とした準備調査を実施し、参加比率(参加者数、回答数)を確認し、本格調査の対象者数の例数設計を行うとともに、質問票や症状日記の書式等の修正を行う。
(2)福岡市内の医療機関に呼吸器疾患の治療のために通院している患者を対象とした疫学調査を翌年の3〜5月に予定しているため、その準備として質問票の作成等を行う。
(3)既存のアウトカムデータを用いた煙霧の定量的影響評価:北部九州地域における過去の救急搬送など既存アウトカムデータを収集し、目視やライダー分析による煙霧情報を組み合わせ、疫学的評価に必要な統合データセットを作成する。

外部との連携

研究代表者:市瀬孝道(大分県立看護科学大学)

疫学調査の連携先:福岡市環境局、福岡県保健環境研究所、岸川 禮子(独立行政法人国立病院機構福岡病院)

関連する研究課題

課題代表者

上田 佳代

担当者

  • 道川 武紘
  • 竹内 文乃
  • 新田 裕史