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金属資源利用・散逸時間経路及びその温暖化ガス排出の廃棄物産業連関分析(平成 23年度)
Waste Input-Output analysis of the use and dispersion of metal resources

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1012CD004
開始/終了年度
2010~2012年
キーワード(日本語)
物質フロー分析,産業連関分析,金属
キーワード(英語)
Material flow analysis, Input-Output Analysis, metal

研究概要

持続可能な金属資源管理には,製品ライフサイクル・リサイクル・処理・処分を巡る金属材料の異時点間フローとその決定因を同定し,スクラップの汚染・品質低下を回避する事が必要である.これに資するべく,Nakamura 他(2007) が開発した多元多部門MFA モデル(WIO-MFA)を元に,詳細な部門分類と製錬熱力学を含む精緻な技術情報を用い, 金属材料の利用・散逸経路を説明する一般的動学数理モデルを開発する.代表的金属耐久財である自動車を対象とし,その構成金属材料の20-30 年にわたる利用・散逸時間経路及び付随する温暖化ガス(GHG) 排出量を同定する.更に,今後進展が予想される易分解設計・電池化などがそれらに及ぼす効果を定量評価する.

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

ワイブル自動車寿命モデルを用いELV 発生台数・スクラップ発生量を30 年間について推定し,異時点間WIO モデルに格納する.ベースメタル4 種と合金元素6 種を考察対象金属とし,そのフローを基準年の2000 年についてWIO-MFAの形で整備する.希釈を含むスクラップのリサイクル可能性を,混合の程度と要求品質の対応,及び製錬熱力学による制約を考慮して同定し, 異時点間WIO の枠組みに導入する.開発したモデルを用い,現状ガソリン車についての金属材料利用・散逸時間経路を同定すると共に,易分解設計・電池化等の技術シナリオがこれに及ぼす(GHG 排出を含む) 効果を推定する.

研究期間の前半は、自動車を取り上げて、WIO-MFAモデルの動学化を進めるとともに、Cr,Niなどの元素のマテリアルフローデータの整備およびWIO-MFA Tableへの格納を行う。
また、後半は、,分離破砕工程における異種金属混合と各種スクラップ品質の同定,およびこれらスクラップの製錬熱力学制約を考慮した希釈を含むリサイクル可能性の同定,そして研究期間の前半でその基本設計がなされた動学WIO モデルへのこれらの実装,および易分解設計・電池化など技術パラメータの設定によるシナリオ分析を進める

今年度の研究概要

(全体)
本年度は,先ず,この背景にある8種類の鉄スクラップが化学組成においてどのように異なるのか,その相違がどのようにして生じるのかを明らかにする.そのために,昨年から開発している鉄鋼付随合金元素に関わるWIOデータベースから,自動車主要部品の化学組成をWIO-MFA手法により求め,廃車処理における選別・破砕・部品取りによってさらに主要部品がどのような組成をもつ形態で出力されるのかを明らかにする.鉄源としてのリサイクルは実際には電炉を通じて行われるので,電炉における品質要求と投入スクラップ組成について文献・実態調査を行い,WIOに実装可能な数理モデルを開発する.本モデル化及び推計結果については,平成23 年度に開催予定である日本LCA学会,鉄鋼協会大会,資源素材学会,国際産業エコロジー学会(米国,カリフォルニア),国際産業連関分析学会(米国,ワシントン),ライフサイクルマネジメント国際会議(ドイツ,ベルリン),世界資源フォーラム(スイス,ダボス) で報告する予定.

(担当)
引き続いて、ニッケル、モリブデン等の物質フローデータの整備・精緻化をするメルト共に、自動車部門、自動車部品部門およびその関連製品部門に着目してデータの整備を行う。

外部との連携

研究代表者:中村愼一郎(早稲田大学政治経済学術院 教授)
研究分担者:
 加河茂美(九州大学経済学研究科 准教授)
 工藤祐揮(産業技術総合研究所 研究員)
 

備考

当課題は、重点プロジェクト1「国際資源循環に対応した製品中資源性・有害性物質の適正管理」および重点研究プロジェクト3「地域特性を活かした資源循環システムの構築」にも関連

課題代表者

中島 謙一

  • 資源循環領域
    国際資源持続性研究室
  • 主幹研究員
  • 博士(工学)
  • 工学,材料工学
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