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窒素動態を取り入れた陸域生態系CO2収支の高精度評価手法の開発(平成 23年度)
Development of advanced evaluation method for terrestrial CO2 budget by improving nitrogen-cycle processes

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
1113CD003
開始/終了年度
2011~2013年
キーワード(日本語)
陸域生態系,二酸化炭素フラックス,窒素循環
キーワード(英語)
terrestrial ecosystem, CO2 flux, nitrogen cycle

研究概要

窒素動態を導入した精微な二酸化炭素(CO2)収支評価システムを実測に基づいて確立し、CO2収支の時空間変化の要因解析を行う。2001〜2010年の気象変動に対して優占種の異なる生態系の物質循環がどのように応答したかを空間的に解明することで、近未来の生態系変動を日本域および全球規模で予想する知見を得る。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

生態系の温度と積雪量を操作する野外実験と、多点観測データに基づく炭素・窒素収支の生態系間比較解析に基づき、地上観測サイトの空間スケールにおいて、窒素動態を考慮したCO2収支の高精度把握を行う。(1)気象の変動がフェノロジー、リター分解と土壌窒素無機化、植物による栄養塩の吸収と土壌からの溶脱などのプロセスを介して生産と分解に与える効果を定量化する手法を確立する。(2)衛星観測と直接対比できる地上観測領域を設定し、生態系機能の時空間変動を評価する手法の高度化を行う。以上の知見と手法を生態系モデルに統合し、2001〜2010年のCO2収支と窒素動態を1kmの空間分解能で評価するシステムを確立し、気象変動との関連を考察する。結果の解釈と検証を3つの空間スケール(地上観測サイト、日本域、全球)で実施する。

今年度の研究概要

気温や降雪水量をはじめとする大気環境要因は、2〜数年、約10年、その他の異なる周期をもつ気候変動の影響を受け、複雑に変化している。また、頻度は低いが突発的に現れる特異な現象(異常な高温・低温・乾燥・凍結等)は、時に生態系の物質循環に不可逆的な変化を与える。そこで、特異現象の出現を含む10年またはそれに近い長期の熱・水・CO2収支を観測している国内の複数の観測点において(北海道大学苫小牧研究林、天塩研究林、岐阜県高山落葉広葉樹林サイト、そのほか AsiaFlux データベース利用)、過去の気象・水文データ、積雪や生産量データも利用し、気象変動とそれに対応するCO2収支の変動を多地点で算出する。一方窒素収支については、各観測サイトとその周辺における窒素循環に係わる調査を新たに行い、生態系内の窒素ストック(葉・木部・土壌)とフロー(大気沈着、河川への溶脱)のデータ整備を行う。平成23年度には、既存のデータベースを調査してデータ収集状況を整理し、必要不可欠な項目を選択する。同時に、日本域に重点をおいて本研究で構築するデータベース整備を開始する。

外部との連携

日浦 勉(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター)
中路達郎(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター)
佐々井崇博(名古屋大学環境学研究科)

課題代表者

三枝 信子

  • 地球システム領域
  • 領域長
  • 博士(理学)
  • 理学 ,地学,生物学
portrait

担当者

  • 高橋 厚裕
  • 井手 玲子