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八丈島における外来生物による在来種個体群への影響評価(平成 22年度)
A research on impact of an alien species on an endangered indigenous lizard on Hachijojima Island, Izu Island Group, Japan

予算区分
AF 奨励
研究課題コード
0910AF008
開始/終了年度
2009~2010年
キーワード(日本語)
外来生物,島嶼生態系,交雑,競争
キーワード(英語)
alien species, island ecosystem, hybridization, competition

研究概要

オカダトカゲは,伊豆諸島八丈島の在来食物網で重要な位置を占めていたが,外来種ニホンイタチの影響により絶滅が危惧されている.近年,近縁種ニホントカゲの侵入が確認された.本種は,オカダトカゲに対する競争と交雑という新たな生態影響を与え,減少を加速する可能性が高いが,一方で侵入初期にあると考えられ,影響はあまり顕在化していない.そこで,侵入プロセス解明を試みるとともに,島内分布・食性・遺伝的構成の調査により,生態影響の実態把握を目指す.また,島嶼における侵入初期の外来種に関する一般的知見を得る.

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

ニホントカゲ外来個体群により生じる可能性の高い在来種への生態リスクとして,競争と交雑が挙げられ,繰り返し移入されることによってそれらが永続する可能性もある.本研究では,これらの各項目について,現状の把握と潜在的可能性の予測を目標とする.
○島内各地でセンサスと標本採集を行い,両種の島内分布を調べる.また,採集個体の糞と胃内容の分析により,両種の食性を調べる.このデータに基づき,生活空間と餌をめぐる競争の程度・可能性を推定する.この過程では,DNAバーコードを併用することで,より迅速かつ網羅的なデータ収集を行う.具体的には,糞と胃内容からDNAを抽出して解析し,塩基配列から糞の主および餌動物を同定する.
○両種の島内分布の接触・重複を調べ,島内各地で採集された個体についてDNA解析を行い,種間交雑による遺伝的撹乱の実態と可能性を明らかにする.
○これまでの予備的調査から,外来個体群は九州東部〜南部に由来すると推定されている.これを考慮し,八丈島のビジターセンター等の協力を得て現地での聞き取り等によって侵入経路を推定し,今後の再移入を予防するための基礎情報を得る.

今年度の研究概要

春,梅雨,夏にかけての求愛,抱卵,孵化幼体出現というトカゲの行動の季節性に合わせて数回の現地調査を行い,島内分布・生息密度・利用微環境を種間で比較する.また,糞・胃内容と地点別の地表性無脊椎動物相の調査によりトカゲ2種の食性の差異を比較する.以上により,利用空間と餌についての競争の程度を推定する.同時に,引き続いて交雑の程度についても解析を進める.また,地元住民からの情報収集を行い,侵入経路の推定を試みる.これにより,島嶼における外来生物の侵入直後の動態を推定・予測する.

備考

栗山武夫氏(東邦大学 理学部 生物学科)との共同研究

課題代表者

岡本 卓