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環境中におけるナノ粒子等の体内動態と健康影響評価(平成 22年度)
Toxicodynamics and health effects of environemntal nanoparticles

予算区分
AA 中核研究
研究課題コード
0610AA303
開始/終了年度
2006~2010年
キーワード(日本語)
ナノ粒子,カーボンナノチューブ
キーワード(英語)
NANOPARTICLE, CARBON NANOTUBE

研究概要

これまでの環境有害物質の健康影響評価は、アスベストなどの例外もあるものの、対象となる物質の用量あるいは濃度に対して行われてきている。 しかし、粒子状物質などが細胞膜スケールのナノのサイズの場合は、組織透過性が高まり、粒子サイズや表面活性が重量よりも生体影響に大きく関与する可能性が示されていることから、環境リスクを評価する上に於いてテストガイドラインも含めて新たな取り組みが必要である。ここでは、ナノ粒子、ナノファイバーの生体影響を調べ、これらの環境汚染と健康リスク評価に関する研究を行う。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:基礎科学研究

全体計画

(1)環境ナノ粒子の生体影響に関する研究: モード走行やアイドリング時におけるディーゼルエンジンから排出される環境ナノ粒子を中心とした粒子状物質を小動物に吸入曝露させ呼吸器や循環器に及ぼす影響を細胞、組織、個体レベルで調べる。 定常走行時に排出されるディーゼル粒子との成分分析を行い、大気粒子状物質中におけるナノ粒子の寄与を健康影響面から明らかにする。

(2)ナノマテリアルの健康リスク評価に関する研究: カーボンナノチューブやフラーレンなどのナノマテリアルの毒性評価を、細胞を用いたin vitro系、ならびに実験動物を用いたin vivo系の両者を用いて行う。 カーボンナノチューブなどの繊維状ナノ粒子については、その発生方法の検討を行い、吸入曝露実験を行うことにより詳細に調べる。

(3)アスベストの呼吸器内動態と毒性に関する研究: 廃棄物処理されたアスベストについて溶融条件と繊維の生物学的表面活性について培養細胞を用いて調べるとともに、気管内投与実験なども行い総合的な毒性評価を行う。また、アスベストをはじめとする生物学的に難分解性であるナノファイバーの体内動態と健康影響評価に関する研究を行う。

今年度の研究概要

リスクセンター中核プロジェクトの一環として、ナノ形状や構造を有する粒子状物質の生体影響に関して3つのサブ課題から研究を進める。 
(1)ディーゼルエンジン由来環境ナノ粒子曝露装置において、各種走行モードにおけるエンジンから発生する環境ナノ粒子の粒径や粒子濃度の安定に関するモニターを実施し、環境ナノ粒子の健康影響評価を行う上での基礎的データを得る。 環境ナノ粒子の体内動態と生体影響に関する研究において、A/J系、Ha-Rasトランスジェニック系のマウスをディーゼルエンジンから発生する環境ナノ粒子に慢性暴露して、呼吸器の免疫・炎症応答に及ぼす影響、肺の炎症に及ぼす影響、ならびに循環機能に及ぼす影響を明らかにする。
(2)ナノマテリアルの健康リスク評価に関する研究では、カーボンナノチューブの鼻部吸入曝露実験を行い、呼吸器内沈着、肺の炎症に関して研究を進める。また、カーボンナノ粒子のmacrophage receptor with collagenous structureを介した細胞内取り込み機構に関する研究を進める。
(3)これまでに得られたクロシドライト、アモサイト、トレモライトクリソタイルの標準物とその熱処理過程に伴う毒性変化のデータと比較する。また、熱処理アスベスト試料のin vitroとin vivo毒性試験で得られたデータを総合的に解析する。

課題代表者

平野 靖史郎

担当者