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温泉保護政策に資する定性的かつ定量的な温泉流動モデルの構築(平成 21年度)
The establishment of qualitative and quantitative flux model of thermal spring for the conservation policy of hot springs

予算区分
BY 環境-委託請負
研究課題コード
0809BY001
開始/終了年度
2008~2009年
キーワード(日本語)
温泉水
キーワード(英語)
Hot spring water

研究概要

近年、急速な温泉資源の開発により資源の枯渇が懸念されている。これまで群馬県では、一律的な距離制限による開発規制により温泉保護に努めてきたが、近年この規制の科学的根拠の欠如が強く指摘され、地下における温泉の流れや継続的に利用可能な温泉水量について、より科学的な評価が求められている。本研究では、数値解析モデルによる温泉水流の予測と微量金属元素に着目した温泉水脈の識別により、地下における温泉の流れを定性的に解析する。また、水の起源を示す指標(水素及び酸素の同位体)に着目し、温泉資源に供給される循環水(雨や雪)の量を見積もることで、継続的に利用可能な温泉水量を定量的に評価する。これらの手法により、地下における温泉の動態を定性的かつ定量的に評価するための温泉流動モデルを構築し、ひいては科学的根拠に基づく新しい温泉保護政策の立案に資することを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:技術開発・評価
  • 従たるもの:行政支援調査・研究

全体計画

群馬県温泉協会では、県内の源泉所有者の協力を得て温泉水のサンプリング及び泉温等の基礎データの取得を行い、さらに液体シンチレーションカウンターを用いて水素の放射性同位体を計測する。国立環境研究所ではIR-MSを活用し、温泉の水素・酸素の安定同位体比を計測する。群馬県衛生環境研究所では、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)による温泉水中の微量金属元素の分析と、数値解析モデルによる予測シミュレーションを行う。

今年度の研究概要

分析対象成分の前濃縮と夾雑物の除去を目的として,イミノ二酢酸キレート樹脂によりろ液中の溶存態微量金属元素を分離濃縮する。懸濁態については,マイクロ波分解装置により酸分解した。誘導結合プラズマ質量分析計により、ろ液およびろ過物中の19元素を定量する。

備考

・群馬県衛生環境研究所(微量金属元素に着目した温泉水脈の識別,数値解析モデルによる定性的な温泉水流の予測シミュレーション)
・国立環境研究所(IR-MSによる温泉水中の水素・酸素の安定同位体比分析)
・群馬県温泉協会(温泉水のサンプリング及び基礎データの取得,液体シンチレーションカウンターによる温泉のトリチウム分析)

関連する研究課題
  • : アジア自然共生研究グループにおける研究活動

課題代表者

野原 精一

  • 生物多様性領域
    生態系機能評価研究室
  • シニア研究員
  • 理学博士
  • 生物学,理学 ,水産学
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