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芳香族炭化水素の光酸化で生じる二次有機エアロゾルのエイジングに関する室内研究(平成 21年度)
Laboratory study of aging of secondary organic aerosol formed from the photooxidation of aromatic hydrocarbons

予算区分
CD 文科-科研費
研究課題コード
0911CD009
開始/終了年度
2009~2011年
キーワード(日本語)
芳香族炭化水素,二次有機エアロゾル,エアロゾルエイジング,室内スモッグチャンバー
キーワード(英語)
aromatic hydrocarbon, secondary organic aerosol, aerosol aging, laboratory smog chamber

研究概要

大気エアロゾルの気候や健康への影響を評価するには、二次有機エアロゾル(Secondary Organic Aerosol: SOA)の生成や組成変性(エイジング)に関わる反応過程を正確に理解する必要がある。本研究では、長距離輸送によるエイジングをシミュレートすることを想定し、人為起源の揮発性有機物である芳香族炭化水素(例えばトルエンやトリメチルベンゼン)の長時間の光酸化実験を行う。生成するエアロゾルの質量スペクトル、化学組成、密度、及び雲凝結核能のエイジングに対する変化や初期反応物濃度に対する変化を測定する。結果から、最近の野外観測の結果を解釈し、実大気に近い反応条件におけるSOA中のオリゴマー生成が可能かを検討し、SOAのエイジングに関わる反応過程を明らかにすることを目的とする。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:

全体計画

人為起源の揮発性有機物である芳香族炭化水素(例えばトルエンやキシレン)のNOx存在下における光酸化実験を行う。生成するエアロゾルをエアロゾル質量分析計(AMS)、走査型モビリティ粒子計測器(SMPS)、及び雲核計で実時間測定する。またエアロゾルをフィルターに捕集して、液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)及びレーザーイオン化飛行時間型質量分析計(MALDI-TOFMS)によって分析する。2009年度には、AMSを用いてエアロゾルの質量スペクトルを重点的に調べる。2010年度以降には、LC-MSやMALDI-TOFMSによるエアロゾルの化学組成の分析、AMSとSMPSの組み合わせによるエアロゾルの密度の測定、SMPSと雲核計の組み合わせによるエアロゾルの雲凝結核能の測定を行う。また、反応物濃度を高レベルから実大気レベルまで変化させながらオリゴマー生成能を調べる。全期間の成果から、有機エアロゾルのエイジングに関わる反応過程を議論する。

今年度の研究概要

最近のAMSによる野外観測の解釈を検証するために、AMSを用いてSOAの質量スペクトルを重点的に調べる。本研究では、初期NOx濃度を予備実験よりも低い実大気に近い値(約50 ppb)に設定し、10時間程度照射した場合のm44/OA比の時間変化を追跡する。ベンゼン、トルエン、m-キシレン、p-キシレン、1,2,4-トリメチルベンゼン、及び1,3,5-トリメチルベンゼンなど都市域で検出される主要な芳香族炭化水素について個別に調べる。

課題代表者

佐藤 圭

  • 地域環境保全領域
    広域大気研究室
  • 室長(研究)
  • 博士(理学)
  • 化学
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