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極東ロシアを中心とした絶滅危惧種イトウの保全管理計画(平成 18年度)
Conservation planning for the endangered Sakhalin taimen in the Far Eastern Russia

予算区分
AF 奨励
研究課題コード
0607AF999
開始/終了年度
2006~2007年
キーワード(日本語)
イトウ,絶滅危惧1A類,極東ロシア,生息環境予測モデル
キーワード(英語)
Sakhalin taimen, Critically Endangered Species, Far Eastern Russia, predictive habitat models

研究概要

2006年IUCN(国際自然保護連合)により絶滅危惧IA類に指定された日本最大の淡水魚類イトウ(Hucho perryi)の生息環境で特に重要な産卵場所が、どこに位置するかについての地理情報は極めて乏しく、本種の適切な保全、管理手法が打ち出されていない。極東ロシアは近年急速に森林資源、石油・ガス資源の開発が進められており、河川環境の破壊も著しい。本研究はイトウを含め、絶滅危惧生物の生息域全域をカバーする広域的かつ効率的な保全に向けて、リモセンやGISを活用した潜在生息域の推定モデルの開発を目標とする。

研究の性格

  • 主たるもの:応用科学研究
  • 従たるもの:技術開発・評価

全体計画

北海道ではイトウの生息分布がある程度調べられており、潜在生息モデルも構築済みである(H17)。そこで、
1)この潜在生息モデルにインプットとして極東ロシアの環境要因を入力し、現地における本種の生息確率分布を明らかにする。環境データはアメリカ地質調査所(USGS)の提供するHYDRO1kまたSRTMによるDEMなどを用いる。
2)モデリング結果を検証するために、2007年夏にヘリコプターを用いて現地に国環研から2名が赴き、複数地点で小型定置網を使った魚類調査を行う。なお、現地調査は米国のNPO, Wild Salmon Center(WSC)とロシア太平洋漁業海洋研究所(ロシア科学アカデミー)との共同研究の一環として行われる。
3)調査地点ごとのイトウの採捕努力量あたりの採捕数から、生息密度の指標値を得る。採集個体は、年齢査定のためのウロコ採取、またDNA解析のための組織を一部採取したのち、放流する。
4)北海道におけるイトウの産卵場の分布を補足的に調べる(1名、約2週間)。その際、H17後期奨励で開発した高解像度デジタル航空撮影によるイトウ産卵個体の検出技術を応用することも検討中(ただし、撮影に関しては別予算から拠出)
5)WSC (Portland, Oregon)にて研究打ち合わせ(1名、1回)

今年度の研究概要

米国Wild Salmon Centerとの協力体制を構築。当組織よりロシア地域の生物・環境に関するGISデータの供与を受けることで合意を得る。生息環境予測モデルの構築、衛星画像からモデル検証のための現地調査候補地を抽出。現地調査は2007年6月を予定。

備考

亀山哲(アジアG・流域生態系研究室)・Pete Rand (Wild Salmon Center, Portland, Oregon, USA)・Sergei Zolotukhin (TINRO, ロシア科学アカデミー, Khabarovsk, Russia)

関連する研究課題
  • : 中核P3 流域生態系における環境影響評価手法の開発

課題代表者

福島 路生

  • 生物多様性領域
    生態系機能評価研究室
  • 主幹研究員
  • 水産学博士
  • 水産学,農学,生物学
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担当者