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地衣類の遺伝的多様性を活用した大気汚染診断(平成 17年度)
Air pollution assessment based on genetic diversity in lichen

予算区分
BC 環境-公害一括
研究課題コード
0507BC935
開始/終了年度
2005~2007年
キーワード(日本語)
大気汚染, 地衣類, 共生藻, 指標生物
キーワード(英語)
AIR POLLUTION, LICHEN, PHOTOBIONT, BIOLOGICAL INDICATOR

研究概要


地域における大気汚染の影響や改善状況を把握するには,化学物質の計測による物理的評価だけでなく,生物を指標とした直接的・客観的評価が必要である。大気汚染物質に対する感受性や汚染物質が体内に蓄積される点,そして寿命が長く長期モニタリングが可能なことから,地衣類は優れた大気汚染指標生物と考えられている。しかし,ウメノキゴケなどの代表的な指標地衣類の消長といった従来用いられてきた方法は,高濃度のSO2汚染物質に対応するもので,現在問題となっているNOxやオキシダントなどの大気汚染物質に対する指標性は不明である。一方,現在の複合大気汚染に対応する方法として,地衣類の生態指数(出現種の被度や共存種数等の総和)を用いた評価方法が提案されているが,高度な分類学的知識が必要であることや計算方法が煩雑であるために,我が国ではあまり普及していない。そこで,現在の多様化した大気汚染物質に対する地衣類の指標性を検証すること,そして長期に渡る低濃度の大気汚染に対応した評価手法として,地衣類の遺伝的多様性を指標とする大気汚染診断技術を開発することを目的として研究を実施している。

研究の性格

  • 主たるもの:基礎科学研究
  • 従たるもの:モニタリング・研究基盤整備

全体計画

(1) 地衣類の分布と多様な大気汚染物質との関連調査(2005-2007年度)(2) 地衣類の遺伝的多様性を活用した鋭敏かつ客観的な大気汚染指標の検討(2005-2007年度)(3) 疾病発生地域との関連分析(2005-2007年度)(4) 総合評価 (2007年度)

今年度の研究概要

(1) 大阪平野および神奈川県の都市部及び都市近郊を中心としてウメノキゴケ等の地衣類の分布調査およびサンプリングを行う。分布の空白域と各種大気汚染物質濃度等値線地図とを比較し,汚染地域および汚染物質の推定を行う。(2) 採集した地衣類サンプルの遺伝的多様性を調査し,調査地域内の多様性マップを作成する。これらの多様性と大気汚染との関連を考察する。(3) 大気汚染に関わる疫学調査の資料を収集し,地衣類の分布や遺伝的多様性との関連を調べる。

備考

共同研究機関:(独)森林総合研究所,大阪市立環境科学研究所,神奈川県環境科学センター,静岡県環境衛生科学研究所

課題代表者

河地 正伸

  • 生物多様性領域
    生物多様性資源保全研究推進室
  • 室長(研究)
  • 博士(理学)
  • 生物学
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担当者

  • 大村 嘉人