2009年5月29日
毎日新聞 2009年5月29日 朝刊記事

今年1月に打ち上げられた温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」のデータを使った世界の二酸化炭素(CO2)とメタン濃度の分布状況を、環境省などが28日公表した。
いぶきは、温室効果ガスのCO2とメタンの濃度を同時に観測できる世界初の衛星。国立環境研究所は4月20~28日の観測データをもとに、地表から約20キロのCO2とメタンの濃度を解析し地図上に色で表した。中国などで濃度が非常に高い地点が複数あるが、黄砂などの影響で結果に誤差が生じるため検証が必要という。
今回は晴天だった陸上のみを対象としとたため空白が多いが、4月下旬は北半球で濃度が高く南半球で低いという傾向で、これまでの地上観測と一致した。同省によると、今後2~3年でこれまで観測データのなかったシベリアなども含めた地球全体のCO2排出、吸収の流れを分析できる見込みという。
(毎日新聞社)
-
国立環境研究所記者発表
担当研究者コメント
「いぶき」は現在、初期校正検証運用にあり、(独)宇宙航空研究開発機構と(独)国立環境研究所では、それぞれ搭載センサの初期校正作業と計算処理システムの調整作業及び検証の準備作業を行っております。
今回得られた初解析結果は、未校正のデータを用いての処理結果です。すなわち、粗く掘り出した原石のようなものです。今後は、観測データ(輝度スペクトルなど)の校正や、処理手法の調整、地上からの観測値との比較などに基づく検証作業を進め、原石を価値のある宝石にまで高める作業をします。その後、登録いただいたユーザに処理結果を配布するとともに、将来は全球における地域別の炭素収支の推定に利用します。
地球環境研究センター 衛星観測研究室長 横田達也

-
国立環境研究所で進めるGOSATプロジェクトのサイトはこちらです。