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Chicago, the Windy City

海外からのたより

鵜野 伊津志

 5月末につくばを発ち、米国イリノイ州シカゴで海外生活を始めて8か月余りになります。シカゴは五大湖の一つのミシガン湖の南西岸に位置するアメリカ第3番目の大都市です。筑波研究学園都市とは異なり、電車とバスを乗り継いでダウンタウンの高層ビル群を眺めながらの通勤です。冬は寒さが厳しいシカゴですが、今年は例年よりも暖冬で12月中旬までに一度雪が降っただけで、それもすぐに溶けてしまいました。

 イリノイ州立大学シカゴ校公衆衛生学部環境科学科のワーデン教授のもとで、主にシカゴとその周辺の大気汚染解析に関する研究を行っています。ワーデン教授とは昭和58年から共同研究を続けています(この間にワーデン教授はつくばに半年ずつ2回滞在しています)。研究自体は日本での研究の延長で、非常によく整備された大型計算機のお世話になっています。

 シカゴは『The Windy City』がニックネームになっています。この言葉のように風の強い日が多いようです。このような気象にはミシガン湖が大きな影響を持っています。湖は北海道の3/4程度の広さを持つ非常に冷たく巨大な淡水湖です。Windy Cityであれば、大気汚染物質は吹き払われて濃度は低そうですが、高濃度の大気汚染は日本と同様に風の弱い時に発現しています。特に、海陸風と類似した湖陸風による大気汚染質の循環が高濃度の発現に重要な役割を持つことが明らかにされています。さらには、このような汚染はイリノイ州北隣のウイスコンシン州へまで輸送され、高濃度のオゾン汚染をもたらしています。このような汚染質の輸送・変質機構は日本で長年観測してきたものと共通で、国が違っても大気汚染の基本的な問題点は共通であることを改めて認識しながら研究を進める毎日が続いています。

(うの いつし、地域環境研究グループ都市大気保全研究チーム)

シカゴの街の写真