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2020年12月28日

気候変動研究と脱炭素社会(これまでの30年、
これからの30年)-国立環境研究所地球環境研究センター
設立30周年記念オンラインイベント-開催報告

【行事報告】

地球環境研究センター

 国立環境研究所地球環境研究センターは、2020年10月1日に設立30周年を迎えました。ご存じのように2020年は、思いもよらぬコロナウィルスの世界的な流行により、30周年を祝う記念式典を行えるような状況ではありませんでした。しかしながら、巣篭もり生活の中で急速に普及したオンライン中継により、研究所職員による「地球観測座談会」と大学生など若い世代からシニア世代をパネリストとする「世代横断パネルディスカッション」の二部構成でセミナー方式のイベントを再企画し、10月1日の記念日に生中継により実施することができました。

 事前登録の際にはパネリストへの「質問」も受付けました。その総数は130件にも及び、イベント内ですべてにはお答えできないほどでした。

 第一部の地球観測座談会には503名、第二部のパネルディスカッションには388名の参加者がありました。両セッションとも2時間を超える長丁場でしたが、ほとんどの参加者が最後までご視聴くださったようです。スタッフ一同、参加者の皆さまに心より御礼申し上げます。

 第一部の地球観測座談会は、研究所内の特設スタジオから生中継を行いました(写真1)。冒頭のプロローグでは、地球環境研究センターが30年近くにわたって観測してきた大気中二酸化炭素濃度の上昇カーブとともに、30年を振り返りました(写真2)。そしてこれまで地球環境研究センターが行なってきた地球環境観測データを解説するだけでなく、地球観測分野の歴史や手法を開発してきた先人研究者たちのエピソード、事前にいただいていた質問に対する回答・解説など、非常に幅広い内容を紹介しました。

第一部地球観測座談会を生配信している様子の写真
写真1 第一部地球観測座談会を生配信している様子(国立環境研究所交流会議室)
大気中二酸化炭素濃度の上昇カーブとともに30年を振り返っている写真
写真2 大気中二酸化炭素濃度の上昇カーブとともに30年を振り返る

 データの解説では大学で学ぶレベルの難しい内容もありましたが、研究所ならではの緻密な観測と得られたデータの意義などを含め、地球温暖化についてご理解を深めて頂けたのではないかと自負しております。

 第二部の世代横断パネルディスカッションは、「脱炭素社会に向けた世代間大討論(これからの30年をどうする)」というテーマ設定により、地球環境研究センターの江守正多副センター長がファシリテーターを務め、下記5名のパネリストがオンライン参加することにより行われました。

パネリスト:

  • 堅達 京子(NHKエンタープライズ・エグゼクティブプロデューサー)
  • 三枝 信子(地球環境研究センター センター長)
  • 高橋 大輝(東京大学教養学部2年、Friday for Future Tokyoオーガナイザー)
  • 西岡 秀三(IGES参与、元国立環境研究所理事)
  • 宮﨑紗矢香(株式会社大川印刷、Friday for Future Tokyo元オーガナイザー)
第二部を紹介するポスターの写真
写真3 第二部を紹介するポスター

 最初に各分野で活躍されたパネリストにこの30年を振り返っていただきました。西岡氏も堅達氏も地球環境研究センターとほぼ同時期に設立されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の役割が地球温暖化の科学の進展に大きな役割を果たしたことに言及されていました。宮﨑氏と高橋氏からは過去の反省、科学の進展を踏まえ、残された時間をどう使うのかがポイントになると話されました。

 続いて、次の30年を踏まえ、今後変わって欲しいこと、変わって欲しくないことなどを議論しました。議論の詳細は別途報告させていただきます。第二部にも開催時間中、参加者からのご質問やご意見を多数いただきました。時間の関係上、中継の中ではあまり取り上げられませんでしたが、この問題に対する関心の高さをスタッフ一同あらためて感じることができました。

 今回のイベントはこれまでにない全国規模、全世代、多様な方々の参加を得つつ実施することができました。これからの30年間は人類の気候変動への対応のすべてを決めるといっていいほど重要な時期となります。地球環境研究センターはこれからも地球環境保全に必要な研究を進め、その成果を皆さまにわかりやすく伝える活動に邁進してまいります。

※地球環境研究センター新着情報掲載記事
(https://www.cger.nies.go.jp/ja/news/2020/201022.html)より一部改訂・再掲。

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