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国立環境研究所研究報告 R-207-2012 「Development of a roadside atmospheric diffusion model MCAD」

 本報告書は、環境省が平成17~22年度に実施した「局地的大気汚染の健康影響に係る疫学研究」(そらプロジェクト)において、国立環境研究所が開発した大気汚染予測シミュレーションモデルMCADの内容、検証結果、適用例などについて取りまとめたものです。ここで紹介されているMCADモデルは、道路沿道における大気汚染物質の拡散状況を、複雑な道路構造・建物構造の影響を反映して、精緻かつ高速に計算できることが特徴です。道路沿道の複雑な拡散状況を予測するためのシミュレーションモデルとしては、CFDモデル(計算流体力学モデル)が良く使用されますが、高い計算コストが難点になっています。それに比べて、MCADモデルは低コストで高精度な計算ができることから、道路沿道の大気汚染実態把握調査、環境アセスメント、多くの道路沿道を対象とした疫学調査等での活用が期待されます。なお、本報告書には、MCADモデルのソースコードとユーザーガイドに関する情報も紹介されています。

(地域環境研究センター 大原利眞)

環境儀No.43 「藻類の系統保存-微細藻類と絶滅が危惧される藻類」

 国立環境研究所の微生物系統保存施設(NIESコレクション)には現在約430属、850種、3000株の藻類や原生動物が保存されています。藻類は光合成による有機物の生産者として地球上で重要な役割を果たしているほか、物質の循環や有用物質の生産などにも深く関わっています。現在約4万種が確認されていますが、自然界には16万から1000万種くらいの藻類が存在すると推定されています。

国立環境研究所では、この藻類を収集し保存株として系統保存しています。その役割としては、藻類を永続的に維持して、いつでも同じ実験結果が得られることを担保する、分類学や試験法などの基準・標準となる系統を提供する、種の多様性を守るための域外保全を行うなどがあります。

今号では、生物・生態系環境研究センター 生物資源保存研究推進室の笠井文絵室長が、藻類コレクションが始まったきっかけからその後の歩み、保存業務の概要、NIESコレクションの特徴、今後の課題等について解説しています。

(環境儀No.43ワーキンググループリーダー 佐治 光)

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