ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

 業務の効率が叫ばれて随分になります。本号が刊行される頃,独立行政法人も事業仕分けを受けているでしょう。それが天下りの温床などと聞けば,ほとんどの人は「とんでもない」と思うに違いありません。しかし,報道の“雰囲気”に流されるべきではないと思います。“無駄”は省くべきですが,何を以って“無駄”と判断するかが重要なはず。例えば,ある目標(仮説)を立てて努力(研究)を続け,幾多の失敗を繰り返した後,ようやく成功(実証)につながった場合,それらの失敗は“無駄”ではないと思います。しかし,成功した後だからこそ言えることであって,成功しない(成果が得られない)間は「いつまで無駄なことをしているのか」と上司や周囲から叱責されるかもしれません。そこで必要とされるのは,活かすべき“無駄”と無用の“無駄”を見極める目利きです。目利きがいなければ,将来の大切な“芽”を摘み取ってしまうかもしれません。将来,世のために役立つ大切な“芽”を見抜いて残す,そんな目利きが,現在の日本にどれほどいるでしょうか。

(T.H.)