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国立環境研究所研究報告 R-198-2008 (平成20年3月発行)
「大気中の放射性核種濃度モニタリングデータ集」
(国立環境研究所 1987-1999)

 環境放射能は,低濃度とはいえ我々の周辺に常時存在しています。特に天然放射性核種のラドン等は,呼吸による人体への線量寄与が大きいと言われていて,環境中におけるこれらの放射性核種の動態解明について,線量評価および大気のトレーサーの研究が進められています。本報告には,成層圏のオゾンと成層圏から地表へと降下するベリリウム-7の濃度の関係を明らかにすることを当初の目的として,1987年に開始された測定のデータをとりまとめました。ベリリウム-7の測定の際には,ラドンやトロンの娘核種である鉛-210,鉛-212などの放射性核種の濃度も同時に測定できることから,これらの濃度の変動を長期にわたって観測したものです。この報告書が日本の太平洋側における大気中の環境放射能のベースデータとして,各地の環境放射能測定値との比較や,エアロゾルなどの物質輸送の解析に利用され,さらには事故などによって放射能が環境中に放出される際の比較データとして有効に活用されると期待されます。

(水土壌圏環境研究領域 土井妙子)

「環境儀」 No.28 森の息づかいを測る-森林生態系のCO2フラックス観測研究(平成20年4月発行)

 森林は二酸化炭素の大きな吸収源であると認められていますが,実際の状況はよく分かっていません。国立環境研究所では2000年に「森林生態系炭素収支観測研究」を開始して,苫小牧,天塩(北海道),富士北麓の森林で二酸化炭素のフラックス観測を行ってきました。本号では,このプロジェクトを立ち上げた研究者のインタビューを中心に,調査方法と成果を分かりやすく解説しています。苫小牧のカラマツ林では1年間に光合成によって吸収される二酸化炭素量から呼吸による放出量を差し引いて,正味1.6~2.5トン/ha(炭素換算)が生態系に固定されていることなど重要な成果が得られています。また,天塩では新たに植林をして,その成長過程を通した炭素収支の長期観測が続けられています。このようなフラックス観測研究のアジアおよび世界におけるネットワークについても紹介しています。

(「環境儀」 第28号ワーキンググループリーダー 横内陽子)

ウリカエデ <テニスコート脇の駐車場で咲いている数ミリの小さな花>
ウリカエデ
テニスコート脇の駐車場で咲いている数ミリの小さな花