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表彰

受賞者氏名:島崎 彦人
受賞年月日:平成17年3月29日
賞の名称:Ecological Research 論文賞(生態学研究)
受賞対象:日本生態学会欧文誌Ecological Researchの各巻に掲載された論文において,特に優れた論文の著者
受賞者からひとこと:
 受賞対象となった論文「Network analysis of potential migration routes for Oriental White Storks (Ciconia boyciana) は,人工衛星を使った遠隔測位システムを応用し,渡り鳥の移動経路と滞在地点を詳細に明らかにするとともに,繁殖地と越冬地の連結性を維持するうえで重要な役割を果たしている中継地を特定し,その保全上の問題点を議論したものです。今日,国境を越えて移動する渡り鳥は,野生生物保護や自然環境保全の観点にとどまらず,感染症伝播との関連性からも大いに注目を集めています。渡り鳥の移動に関わる諸問題の解決に向けて,今後も,本研究で培ったデータ収集・解析手法を応用していければと考えています。なお,本研究は,平成13~15年度環境省地球環境研究総合推進費「高度情報通信技術を用いた渡り鳥の移動経路と生息環境の解析及び評価に関する研究」の一環として行われました。また,本論文は,田村正行氏(元国立環境研究所上席研究官,現京都大学),樋口広芳氏(東京大学),Yury Darman氏(WWFロシア),Vladimir Andronov氏,Mikhail Parilov氏(ロシア・ヒンガンスキー自然保護区),Meenakshi Nagendran氏(カリフォルニア大学)との共著によりまとめたものです。

受賞者氏名:稲森 悠平
受賞年月日:平成17年4月11日
賞の名称:第37回月刊「水」賞
受賞対象:水環境の保全・再生に多大なる貢献があった者
受賞者からひとこと:
 水環境の保全・再生に対して最も貢献のあった大学,企業,研究機関の研究者などに与えられる第37回「水」賞を受賞した。この賞は月刊「水」が創設した制度で,我が国を代表する著名な研究者などが受賞してきた権威ある賞である。
 1980年7月,明電舎研究所の水処理微生物研究の専門家を辞し,国立公害研究所水質土壌環境部陸水環境研究室に赴任後,水環境を守るための流域対策,アオコ発生機構,アオコ発生防止技術のフィールド調査研究,基礎研究,応用研究などに取り組んできた。
 現在,湖沼,海域などの流域管理の水・廃棄物に係わる適正な在り方,適正な技術導入方策,水環境再生効果などについて,国内だけでなく,海外でも活動している。JICAプロジェクト技術協力「韓国水改善システムモデルプロジェクト」に引き続き,日中韓三カ国環境大臣会合で合意した中国西湖,太湖を対象とした「淡水(湖沼)汚染防止プロジェクト」,JICAプロジェクト技術協力「太湖水環境修復モデルプロジェクト」を日本側責任者として推進し,国際的にも高く評価されてきている。
 このような研究業績,行政への貢献,環境改善への貢献などが,国際的貢献も含め多角的に評価されたものといえるが,さらに国立環境研究所の発展のために貢献していきたい。

受賞者氏名:今井 章雄
受賞年月日:平成17年7月1日
賞の名称:第十三回生態学琵琶湖賞
受賞対象:湖水の環境保全にとって優れた業績をあげ,生態学研究の発展に大きく寄与した者
受賞者からひとこと:
 「生態学琵琶湖賞」は,水環境およびこれに関連する生態学の各分野において,学術的,社会的見地から重要な研究成果をあげ,今後の研究の一層の深化が期待される研究者に贈呈されるものです。
 今回の受賞対象となった研究は,我々が霞ヶ浦において長年に渡って実施してきた「湖水における溶存有機物の特性・機能・影響」に関するものです。湖水に溶けている有機物,すなわち溶存有機物が,どのような性質で(フミン物質が思ったより少ない),どこから来て(下水処理水の寄与が大),どのような影響を生態系(アオコの増殖を抑制)や水道水源としての湖水(フミン物質ではないものの影響が大)に及ぼすかについて,切り口の明白なアプローチ・手法と地道な湖沼モニタリングによって,新しく具体的な成果を得たことが評価されました。
 今回の受賞を糧にして,今後も,流域環境の中にある湖沼という観点から,湖沼研究を進展させてゆきます。The sky is the limit. 無限の可能性をけっこう信じて。