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環境情報センターの役割と課題

松井 佳巳

 「環境情報」と聞いて何を思い浮かべますか。「環境」という語は人によって受けとめ方が様々ですし,「情報」も実はよくわからない語です。ちなみに,広辞苑(第5版)では,「環境:四囲の外界。周囲の事物。特に人間または生物をとりまき,それと相互作用を及ぼし合うものとして見た外界。」となっており,「情報:(1)あることがらについてのしらせ。(2)判断を下したり行動を起こしたりするために必要な,様々の媒体を介しての知識。」となっています。それでは,この「環境」と「情報」が複合した「環境情報」の「センター」である「環境情報センター」が,現在どのような役割を担っているか,また,どのような課題を抱えているか,簡単に紹介しましょう。

 当センターの役割は,(1)研究業務などへの情報技術による支援,(2)研究成果の発信,研究所の広報,(3)環境情報の国民への提供,に区分することができます。(1)の「研究業務などへの情報技術による支援」では,スーパーコンピュータやイントラネットなどのコンピュータ・ネットワークシステムの運営のほか,図書室の管理,研究者に対する文献検索・複写サービス,研究成果発表の管理などを実施しています。(2)の「研究成果の発信,研究所の広報」では,研究所のホームページ(HP)(http://www.nies.go.jp/index-j.html)の運営と研究報告書などの編集・発行で,これは所内の関係委員会や企画・広報室と連携しながら進めています。(3)の「環境情報の国民への提供」では,研究所HPのほか,EICネットHP (http://www.eic.or.jp)から情報提供を行っています。研究所HPでは,主として当研究所で生産された研究情報を発信しています。一方,EICネットHPは一般的な環境情報を国民にわかりやすく提供するとともに,利用者とのコミュニケーションも図る「環境情報の有名デパート」を目指しています。まだご来店いただいていない方は是非お越しください。なお,こうした業務に関連するものとして,環境省からの委託・請負業務も実施しています。

 ところで,(1)については,情報技術の著しい発展・普及に伴い,コンピュータ・ネットワークシステムの管理運営がたいへん重要になっています。このため,技術革新を踏まえたサービスの向上に向け,引き続き努力する必要があると考えています。これは図書室関係業務についても同様です。(2)については,これまで比較的淡々と処理してきましたが,今後はより積極的な展開が必要です。特に研究所HPの充実が課題であり,蓄積された研究成果をいかに発信していくかがポイントです。このため,所内研究者との連携の強化に向けて,研究者にはできるだけのサービスを提供し,研究者からは積極的な協力が得られるよう体制を整備する必要があります。(3)は「環境研究」と並ぶ研究所の業務の柱として位置付けられているものです。もちろん,当センターのみが担うものではありませんが,研究所HPとEICネットHPが中心となっていることから,基本的な部分は当センターが担当しています。このため,研究所HPについては上記のような課題の解決に尽力するとともに,EICネットHPについては,より充実した商品(=環境情報)の提供が必要となっています。

 「環境情報」は冒頭に記述したように「環境」に関する「情報」であれば,何でもありの世界です。また,環境省や所管の公益法人なども「環境情報」の提供を行っていますので,これらとの適切な連携や役割分担が必要です。このため,(3)の役割を効果的に果たすことを中心に,現在,業務の推進戦略を検討しているところです。その結果などを踏まえ,当センターの的確な業務運営に努めていきたいと考えておりますので,今後とも当センターに対するご支援・ご鞭撻をお願いします。

(まつい よしみ,環境情報センター長)

執筆者プロフィール

本年1月1日付けで現職。前職は研究所担当の環境省環境研究技術室の室長。現在,金帰月来のつくば暮らし。つくばでは片道15分の自転車通勤。これで稼いだ時間をいかに有効利用するかが当面の課題。