編集後記

　エルニーニョの影響か，今年に入ってから降水量の多い状態が続いている。食糧が溢れかえっている現在の日本では，直接の危機感を持ちにくいが，本来，天候の変化は食糧の過不足に直結する問題である。人口がいやおうなしに爆発的増加を遂げている現在，ただでさえ全世界的な飢餓への不安がある。まして，数十年先の気候状態が予測できなければなおさらである。所長の巻頭言にあるように，「人間行動の変容が必要」ならば，そのために私たちは何を急ぐべきなのだろうか？

　環境問題に係わる分野は，非常に多岐にわたり，研究者同士でさえ互いの仕事を正しく理解するのはなかなか困難である。ニュース編集小委員会では，委員が全ての原稿の下読みを持ち寄る。そして，文の構成から一字一句に至るまで，原文の調子をなるべく変えずに，広範囲の読者の方々へのわかりやすさを心がけて検討する作業を行っている。このニュースが広い分野の様々な知見を繋ぐ架け橋として少しでも役立って欲しいと願うところである。