ユーザー別ナビ |
  • 一般の方
  • 研究関係者の方
  • 環境問題に関心のある方

国立環境研究所特別研究報告(SR-14-'94)
「粒子状物質を主体とした大気汚染物質の生体影響に関する実験的研究」(昭和63年度〜平成4年度」(平成6年3月発行)

 本特別研究報告書では,ディーゼル排気微粒子(DEP)が,実験動物を用いた研究で,ぜん息,アレルギー性鼻炎および肺がん等を引き起こし得るのかどうかを調べ,それらのすべてがDEPによって発現することを示した。さらに,ヒトが暴露されているSPM量の推定を試み,その推定された量と動物実験の結果とから,ヒトの健康に及ぼすリスク評価を行うに役立つ研究への第一歩を築いた。今後は,吸入実験による成果を蓄積し,さらに現実的なリスク評価を進める予定である。

(地域環境研究グループ 嵯峨井勝)

国立環境研究所特別研究報告(SR−15-'94)
「トリクロロエチレン等の地下水汚染の防止に関する研究」(平成2〜4年度)(平成6年3月発行)

 トリクロロエチレンなどの揮発性有機塩素化合物による土壌・地下水汚染は,先進国共通の環境汚染として修復の急がれている課題である。ただ土壌・地下水汚染の調査に始まる一連の浄化対策には膨大な経費がかかるため,効率よく汚染物質を除去するには,地下での汚染物質の存在状況を的確に把握し,その存在状況にあった適切な浄化対策技術を用いる必要がある。本報告書は,揮発性有機塩素化合物による土壌・地下水汚染の浄化対策を効率よく実施するための手順を明らかにすることを目的に実施した特別研究の最終報告書である。報告書では,最初に表層土壌ガス調査とボーリング調査を組み合わせた汚染物質の存在状況把握手法について述べている。さらに,浄化対策技術として汚染土壌の除去,地下水の揚水と土壌ガス吸引技術などをいくつかの汚染現地に適用して,それぞれの汚染物質除去効率を評価し,効率的な対策技術の組み合わせや対策手順について記している。

(地域環境研究グループ 平田健正)

国立環境研究所特別研究報告(SR-16-'94)
「有害廃棄物のモニタリングに関する研究」(平成2〜4年度)(平成6年3月発行)

有害化学物質による環境汚染源として,質的,量的に大きく変化している廃棄物処理が注目を集めており,国際的にも国内的にも有害廃棄物の適正管理が強く求められている。本報告書は,有害廃棄物処理がもたらす環境リスクの管理システム確立する上で基礎となるモニタリング手法を開発し,有害廃棄物処理に伴う環境汚染の可能性を明らかにする目的で行われた特別研究の最終報告書である。報告書では,まず有害廃棄物の流れに沿って、環境リスクをもたらす恐れがある要因を体系的に整理した。次に,室内実験や実施設での実験によって塩素系廃棄物の焼却処理に伴う有害化学物質の挙動を解明するとともに,埋立処分地浸出水中の多様な化学物質の分析を行い,有害廃棄物の焼却処理と埋立処分に伴う環境リスクの可能性を検討した。さらに,有害廃棄物処理に伴う環境リスクの新たなモニタリング方法として,各種バイオアッセイ手法の適用を試みた。 <div align="right">(地域環境研究グループ 中杉修身)</div>

国立環境研究所特別研究報告(SR-17-'94)
「有用微生物を活用した小規模排水処理技術の開発と高度化に関する研究」(平成2〜4年度)(平成6年3月発行)

 生活排水ならびに小規模事業場排水などの排水は水域の汚濁負荷量の約70%を占めるに至っており,有効な対策の確立は急務の課題である。本報告書はこれら小規模排水に対して有用微生物を活用した高度処理技術の開発を行い,水質改善に資することを目的として実施した特別研究の最終報告書である。主たる内容は,1)小規模排水の特性および生物処理の適用性に関する調査研究を行った結果,BODに対して影響度の高い油分の処理は小規模排水処理において重要であることが示された。2)小規模排水の栄養塩類除去システムの開発に関する研究を行い,嫌気・好気循環生物膜法における適正な循環が窒素除去のための処理の安定化,効率化,汚泥の減量化に大きく寄与し,嫌気・好気活性汚泥法では溶存酸素を指標とした制御が負荷変動に強く,有用微生物としての硝化細菌,脱窒細菌のバイオマスと活性が高く保持されることが明らかになった。3)小規模排水処理プロセスの技術およびシステム評価に関する研究を行い,有用微生物の中で処理の高度化に大きな役割を演じている微小動物の大量定着化手法と微小動物を活用した処理水の生態系への影響評価手法の新たな検討がなされた。

(地域環境研究グループ 稲森悠平)

国立環境研究所特別研究報告(SR-18-'94)
「都市域における冬期を中心とした高濃度大気汚染の予測と制御に関する研究」(平成2〜4年度)(平成6年3月発行)

 本報告書は,都市大気保全研究チームを中心に行われた特別研究の成果に関する最終報告書である。都市域における窒素酸化物,光化学オキシダント,浮遊粒子状物質等による大気汚染は依然として大きな問題である。大都市地域においては冬にNO2の濃度が上昇するが,冬期の都市域における高濃度大気汚染の生成メカニズムに関しては気象及び大気反応の両面で不明な点が多いためフィールド観測やモデル研究,風洞による実験を行った。3年間にわたる研究の結果,大気汚染物質の拡散の挙動を市街地の空間的構造から明らかにすることができたとともに,冬期における大気汚染物質の移流,拡散,反応過程を定量的に予測,評価するモデルを確立することができた。これらの研究結果が具体的に報告されている。

(地域環境研究グループ 若松伸司)